「自社採用ホームページ」と「自社セミナー・説明会」を重要視

コロナ禍からの業績回復に伴い、優秀な学生を獲得する競争がますます激しくなっています。2025年卒採用でより重要になると思われる施策を尋ね(複数回答)、結果を従業員規模別に上位7項目示したものが[図表7]です。やや順位に差がありますが、「自社採用ホームページ」(大企業1位、中堅・中小企業2位)と「自社セミナー・説明会」(大企業3位、中堅企業・中小企業ともに1位)の二つの施策については、すべての規模で30%以上となっており、認識が共通していることがうかがえます。採用活動の早期化に伴い、時期的、あるいは掲載内容的に制約のある「就職ナビ」に過度な依存をするのではなく、他社との差別化を図るために「自社採用ホームページ」でのインターンシップ募集やプレエントリー受け付け、企業・仕事への理解を促進させる動画コンテンツの掲載などに注力する動きが見られます。また、「自社セミナー・説明会」でも、オンラインから対面型への回帰が見られる中、より独自性のあるプログラムを提供する必要性が高まっています。
[図表7]2025年卒採用でより重要になると思われる施策(複数回答、従業員規模別)
従業員規模ごとの違いを見ると、大企業と中堅企業では両方とも「対面型インターンシップ」が33%となっていますが、中小企業では19%と差があります。この動きは、インターンシップにおいても対面型へ回帰が進む中、中小企業ではもともと対面型を採用しているケースが多い傾向にある一方、大企業・中堅企業はオンラインから対面型への移行や併用を模索していることを示唆しています。また、前記[図表5]でも取り上げたように、大企業や中堅企業では「内定辞退者を減らしたい」が重要課題とされ、「内定者フォロー」が課題となっている一方、中小企業では上位にはランクインしていません。

また、すべての規模で「学内企業セミナー」が7位までにランクインしていますが、中堅企業・中小企業では「キャリアセンターとの関係強化」(各30%・19%)もランクインし、大企業でもランクインこそしていないものの18%と2割近くが重要視しています。同結果は、最重要課題である“ターゲット層の応募者確保”のために、大学ルートの活用が再評価されていることを示唆しています。

「ターゲット層の応募者を集める」施策の一環として、大学ルートの活用とともに近年注目されているのが「ダイレクトソーシング」※です。「ダイレクトソーシング」を行っていると回答した企業に対し、その実施内容を尋ねたところ(複数回答)、全体では「逆求人サイトの活用」が64%で最も多く、次いで「社員からの紹介」(55%)、「内定者からの紹介」(34%)といったリファラル採用が挙げられました[図表8]
※企業が優秀な人材を獲得するために自ら求職者に接触し、積極的・能動的に採用活動を行う手法。「ダイレクトリクルーティング」ともいう。
[図表8]2025年卒採用におけるダイレクトソーシングの実施内容(複数回答)
従業員規模ごとの違いを見ると、「逆求人サイトの活用」については、大企業の47%に対し、中堅企業と中小企業ではそれぞれ75%、73%と高い割合となっています。また、「社員からの紹介」は、大企業で65%、中堅企業で50%、中小企業で47%と、大企業での実施率が最も高くなっています。また、「内定者からの紹介」については、大企業と中堅企業ではそれぞれ47%、42%と4割台となる一方、中小企業では13%と実施率が低い傾向にあります。これは、内定者少ない中小企業では、「内定者からの紹介」に頼ってしまうと、内定者の出身校に偏りが生じる可能性があることを示唆しています。

また、大企業では、他の規模の企業では1割に満たない「SNSの活用」が29%と3割近くに上ります。「SNSの活用」はそれなりに手間のかかる手法でもあり、人的リソースに余裕のない中堅企業・中小企業では、そこまで手が回らないといった実状も推測されます。

インターンシップの参加者獲得でも苦戦する中小企業

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