対面型への揺り戻しが続くインターンシップ

インターンシップの実施形式は、コロナ禍でオンラインに大きく舵を切った企業も少なくありませんでしたが、新型コロナ感染症に対する政府の見解がより“withコロナ”に転化していく中、新卒採用においても年々変化が表れています。前回の本欄でも取り上げたように、大企業の3割が「(対面型のインターンシップを)増加した」と回答するなど、「2024年新卒採用でより重要になると思われる施策」では「対面型インターンシップ」が3位にランクインしました。2025年卒採用ではどうでしょうか。

ここでは「インターンシップの形式」に関する二つの設問の結果を紹介します。まずは、「2025年卒採用向けインターンシップの形式」です。全体では、「すべて対面型で実施」34%、「対面型とオンライン型を混合して実施」60%に対して、「すべてオンライン型で実施」はわずか5%にとどまります[図表7]
[図表7]2025年卒採用向けインターンシップの形式
従業員規模別に見ても大きな差異はなく、大企業7%、中堅企業8%、中小企業で3%といった具合です。2021年3月に実施した調査では、2022年卒採用向けのインターンシップの形式を「すべてオンライン型で実施」と回答した企業は3割を超えており、たった2年ですべての企業規模で大きく変化したことが分かります。

その他の選択肢についても状業員規模別に見ると、「すべて対面型で実施」は大企業や中堅企業では2割前後なのに対して、中小企業では54%と半数を超えています。2年前の調査では、大企業や中堅企業はやはり2割前後でしたが、中小企業も3割程度だったことを考えると、中小企業での「インターンシップの対面化」がより進んでいることが分かります。受け入れ人数が比較的少ないことも対面化を図りやすい要因といえますが、せっかく接点を持った学生とのグリップ力をより強固にしたいという思いの強さともいえるのではないでしょうか。

もう一つ、「対面型インターンシップ実施割合の前年比較」の結果を紹介します。全体では、「変化なし」が64%で圧倒的に多いものの、「増加する」(「大きく増加する」と「やや増加する」の合計、以下同じ)30%に対して、「減少する」(「大きく減少する」と「やや減少する」の合計、以下同じ)はわずかに1%あるのみです[図表8]。企業が「対面型」強化を加速している様子がうかがえます。
[図表8]対面型インターンシップ実施割合の前年比較
従業員規模別に見ると、特に大企業でこの傾向は強く、「大きく増加する」14%、「やや増加する」31%の合計45%、半数近くの企業が「増加する」としています。コロナ対策としていち早くオンライン化を進めたのが大企業であり、いまその揺り戻しが来ているといえるでしょう。2025年卒採用においても、「対面型のインターンシップ」が重要施策として考えられているようです。

課題山積の新卒採用活動

新卒採用に関する採用担当者からのフリーコメントの一部を抜粋して紹介します。皆さんはどんな感想をお持ちでしょうか。

・学生の情報収集方法や就職することに何を求めているのかを都度収集していく必要がある(1001名以上、情報・通信)
・年々キャリア形成よりも安定を求める傾向を感じる(1001名以上、商社・流通)
・政府主導で、形骸化している就職協定を見直してほしい(1001名以上、メーカー)
・採用支援企業の営業が過熱しすぎて就職活動が前倒しになっている。会社が疲弊して、採用に無駄な工数やコストが発生している(1001名以上、メーカー)
・入社してからの教育研修もセットで考えなければいけないが、正直そこまで手が回っていない。まだ若手の離職が出ていないが、疲弊している人もいる。入社後も課題が多い(301~1000名、商社・流通)
・育成を前提とした採用方式から、能力を活かして伸ばす採用への変革が求められている(301~1000名、情報・通信)
・年々スケジュールが前倒しになっており、複数年度の活動が重なってきている。学生も早期に意思決定する集団と、じっくり決めたい集団に分かれており、それぞれに対応するのが困難になってきている(301~1000名、メーカー)
・「一括採用自体に無理がある」という気が年々してならない(301~1000名、メーカー)
・採用環境はコロナ禍前に完全に戻ったように思っています(301~1000名、サービス)
・全般的に働くことへの強い意志が感じられない(301~1000名、サービス)
・早期化が止まらず、企業側もつなぎ止めに苦労するが、学生側も負荷が高いと思う(300名以下、商社・流通)
・オンライン授業が多かったことにより、学生の考え方のベースが変わっているように思う。学生へのアプローチで対面が良いかオンラインが良いかは、学生に合わせて対応しないといけない(300名以下、情報・通信)
・中小企業は年々難しい立場になっているように感じる。 コロナ禍が終わるとそれはより顕著に現れるのではないかと思う(300名以下、メーカー)
・大手企業では大学新卒の初任給を大幅に引き上げるという記事をよく目にしますが、終身雇用を前提とした採用を続けていいものかという若干の疑問(疑念)は持っています(300名以下、メーカー)
・学生の皆さんとの交流を通じて、社員が前向きな気持ちをもらえていると感じます。人材確保という主目的に加え、従業員のやりがいUPにも活用していきたいと思います(300名以下、メーカー)
・年々母集団形成が難しくなっている。学生からは「選考が早すぎる」「まだ準備が整っていない」などの声をよく聞くが、早く動き出さないと他社に囲われてしまう(300名以下、メーカー)
・給与と休日を重視している学生が多い。根拠のない自信は、どこから来ているのだろう。 社会(会社)が甘すぎる(300名以下、メーカー)

4社以上のインターンシップ参加者が過半数に

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