4月26日にリクルートワークス研究所の「大卒求人倍率調査(2024年卒)」の発表がありました。2024年卒の求人倍率は、全体では2023年卒の1.58倍より0.13ポイント上昇の1.71倍となり、コロナで採用を中止あるいは抑制していた業界も採用を復活させるなど、より企業の採用意欲の高まりが反映されています。ただ、コロナ禍直前の2020年卒の1.83倍までには届きませんでした。
前年までの採用意欲の高まりはどちらかというと大企業中心で、ようやく中小企業においても採用増の機運が高まってきたというのに、中小企業にとっては、全体の求人倍率の上昇幅とは比較にならない厳しい環境となっているようです。
7年間でここまで早期化した採用戦線
さて今回は、前回から引き続き、HR総研が人事採用担当者を対象に2023年3月に実施した「2024年新卒採用動向調査」に加え、HR総研が「楽天みん就」と共同で2023年3月7~22日に実施した「2024年卒学生の就職活動動向調査」の結果を紹介します。まずは、「2024年新卒採用動向調査」の結果からです。HR総研では、現在の就活ルール(3月1日:採用広報解禁、6月1日:採用選考解禁)になった2017年卒採用(当時は経団連「採用選考に関する指針」)以降、毎年解禁月である3月と6月に定点調査を実施してきました。前回本欄で紹介した「面接選考の開始時期」と「内定出し開始時期」について、2017年卒採用からの8年間の推移を時系列にまとめてみたところ、面白い結果が得られましたので、紹介します。
「面接選考の開始時期」について、就活ルールに配慮した採用活動を展開する企業の割合が多かった1001名以上の大企業の結果だけを抽出して、「3年生3月まで」と「4年生4月以降」の2区分に分けて集計し直し、年代別に並べたものが[図表1]です。2017年卒では、「3年生3月まで」に面接を開始する企業は26%と4社に1社程度の割合でしたが、2024年卒では実に80%にまで達しています。2024年卒では「4年生4月以降」に面接を開始する企業は2割にまで減少し、完全なる少数派です。2017年卒では、「4年生5月」「4年生6月」に面接を開始していた企業だけでも45%もあったことが信じられません。
3月までに内定出しを開始する大企業は6倍に
次に、「内定出しの開始時期」について、こちらも大企業のデータだけを抽出して、2017年卒採用から2024年卒採用までの推移を見てみましょう。前述の「面接選考の開始時期」と同様に、「3年生3月まで」と「4年生4月以降」の2区分に分けて集計し直した結果が[図表2]です。「面接選考の開始時期」もしかりですが、驚くべきは、途中で舵取り役が経団連から政府に代わったものの、この間、「就活ルール」の日程規定はまったく変わっていないということです。それにもかかわらず、このようなことが起こっているのが現実です。大卒求人倍率(リクルートワークス研究所)が伸びているとはいえ、かつてのバブル期のような3倍近い求人倍率になっているわけではなく、2024年卒でたかだか1.71倍に過ぎません。リーマンショック前の2.14倍にもまだほど遠い倍率にもかかわらずです。