オンライン対応は重要施策からやや後退

さて、ここからは前回に引き続き、HR総研が2021年6月7~14日に企業の採用担当者を対象に実施した「2022年および2023年新卒採用活動動向調査」の結果を見ていきましょう。今回は、2023年卒向けの採用活動動向です。

まずは、2023年卒採用でより重要になると思われる施策について聞いてみた結果です[図表3]。得票が過半数に及んだ施策はなく、集中というよりもかなり分散した形になっています。
第125回 「2022年卒 採用川柳・短歌/就活川柳・短歌」の入選作品を紹介
そんな中で最も多かったのは、「自社採用ホームページ」の34%で、「自社セミナー・説明会」が33%で続きます。昨年の同時期調査(2022年卒採用向け)の最多は「オンラインでの自社セミナー・説明会」が42%、次いで「オンラインでの面接」が38%、そして3位に「自社採用ホームページ」が31%で続きました。オンライン化初年度だった昨年は、次のシーズンに向けてもオンライン対応を重要施策として捉えていたようです。ところが、2年目となる今年は「オンライン会社説明会」は27%で5位、「Web面接(オンライン会議方式)」は20%で6位に後退しています(選択肢の項目名は前年と少し異なります)。

逆に昨年は、「自社セミナー・説明会」は15%に過ぎず、11位と上位には入っていませんでした。昨年の段階では、対面型のセミナー・説明会の実施はまだ困難で、オンライン化をさらに進めていく必要を感じていたのに対して、今年は遅れているとはいえ新型コロナウイルスワクチン接種の進行もあり、来年の採用では対面型のセミナー・説明会が開催できる環境になっているのではないかという期待が込められているのかもしれません。また、オンライン化対応のノウハウはこの2年である程度蓄積されたため、重要度がやや低下したという見方もできるかもしれません。

3分の2の企業が対面型インターンシップを予定

次に、前項の重要施策の3位にもランクインしていた「(2023年卒向け)インターンシップ」について、見ていきたいと思います。まず、実施意向について、全体では「未定」企業が24%と4分の1近くあるものの、「これまでは実施していないが、実施する予定」と「これまでも実施しており、実施する予定」を合計した「実施する予定」(以下同じ)は55%と過半数に及び、「未定」企業を除外して集計した場合には、73%と7割を超えます[図表4]
第125回 「2022年卒 採用川柳・短歌/就活川柳・短歌」の入選作品を紹介
従業員規模別に見ると、1001名以上の大企業では、「これまでは実施していないが、実施する予定」が9%と1割近くもあり、「実施する予定」は76%に達し、「未定」(14%)を除けば、実に90%にもなります。インターンシップを実施しない企業が極めて珍しい状況にまでなっています。301~1000名の中堅企業と300名以下の中小企業では、それぞれ「実施する予定」は58%、46%ながら、「未定」(23%、28%)を除けば75%、64%になります。どの企業規模でも、「これまでは実施していたが、実施しない予定」とする企業が極めて少ないことが特徴で、大企業に至ってはゼロとなっています。選考の早期化に乗り遅れないようにするためには、インターンシップを実施せざるを得ないというのが企業の本音ではないでしょうか。

次に、予定しているインターンシップの実施形態について見てみましょう。全体で最も多かったのは「オンライン型と対面型の両方を実施する」の40%で、「オンライン型のみで実施する」が28%、「対面型のみを実施する」が25%となっています[図表5]
第125回 「2022年卒 採用川柳・短歌/就活川柳・短歌」の入選作品を紹介
「オンライン型と対面型の両方を実施する」割合を、「オンライン型のみで実施する」と「対面型のみを実施する」に加算したものを、それぞれ「オンライン型で実施する」、「対面型で実施する」(以下同じ)とすると、前者が68%、後者が65%となります。3分の2近い企業が「対面型で実施する」ことを予定しているのは注目です。インターンシップの実施に当たっても、[図表3]で見たように、対面型での実施が可能になるだろうと見ている企業が多いことが分かります。

従業員規模別に見ると、「対面型のみを実施する」企業は、大企業では7%と少数派なのに対して、中小企業では46%と半数近くにまで及びます。その結果、「対面型で実施する」企業の割合は、大企業で51%、中堅企業で63%、中小企業では74%と企業規模が小さくなるほど、対面型での実施を予定しています。ただ、大企業ですら51%と半数以上の企業が、対面型のインターンシップを予定していることにやや驚きを感じています。

予定しているインターンシップの日数タイプについても見てみましょう。全体では、「1日程度」が49%と半数近く、次いで「2~3日程度」35%、「半日程度」31%、「1週間程度」24%と続きます[図表6]
第125回 「2022年卒 採用川柳・短歌/就活川柳・短歌」の入選作品を紹介
従業員規模別に見ると、すべての規模で「1日程度」が最多となっているものの、大企業の37%に対して中堅企業は63%となるなど、規模による差異は見られます。また、大企業では「2~3日程度」も「1日程度」と同じく37%で並んでいます。また、「半日程度」と「1週間程度」も33%で並ぶなど、日数タイプがほぼ同程度で横並び状態になっています。全体傾向に最も近いのは中小企業で、「1日程度」が46%で最多、次いで「2~3日程度」38%、「半日程度」28%、「1週間程度」21%となっています。中堅企業では、「1日程度」に次いで「半日程度」が多くなっており、インターンシップを会社説明会やセミナーに近い位置づけとして捉えている企業の割合が最も高そうです。

なお、「1カ月以上」の長期インターンシップを実施する企業は、ITベンチャーを中心に中小企業が多いイメージがあります。確かに中小企業が8%で最も多くなっていますが、大企業でも4%あるのに対して、中堅企業ではゼロとなっています。このあたりにも、中堅企業におけるインターンシップの位置づけが他の規模の企業と異なる点がありそうです。

秋シーズンにもインターンシップ開催へ

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