オンライン化が面接社数をかさ上げ

ここからは面接について見ていきましょう。まずは面接社数について、[図表6]は文系、[図表7]は理系について、過去3年間の同時期調査の結果を比較したものです。こちらも2021卒よりも2020卒の調査結果に近いデータとなっています。
第123回 マーケティングを意識したインターンシップの設計が求められる時代
文系を見ると、「0社」は33%で2021卒の27%よりも多く、2020卒の31%に近いものになっています。2021卒の採用選考は、東京オリンピック・パラリンピックが開催されることを前提に、当初は2020卒採用よりも速いペースで進捗していたため、3月時点で面接を1社も受けていない学生の割合が少なかったといえます。ただし、受けてはいたものの、社数はそれほど伸びておらず、「1社」~「3社」といった少ない社数では2021卒の割合が高くなっている一方、「6~10社」では2022卒のほうが4ポイントも高くなるなど、面接社数が多くなると2022卒の割合が高まる傾向となっています。

理系も同様で、「0社」は2021卒が2022卒よりも5ポイント低かったものの、「1社」~「4~5社」の割合は、いずれも2021卒が最も高くなっています。文系と同様、「6~10社」では2022卒のほうが6ポイントも高くなるなど、それ以上の社数では2022卒が上回っています。

2022卒の調査結果は、2021卒よりも2020卒の調査結果に近いデータとなっていますが、社数が多くなると2020卒の結果よりもさらに高くなる傾向にあります。面接がほぼすべて対面型で実施されていた2020卒と比べて、2022卒採用はオンライン化が昨年よりもスムーズに進行していることもあり、面接社数のかさ上げに大きく寄与しているものと推測されます。

オンライン型が面接の主流に

次に、1社以上の面接を経験した学生を対象に、参加した面接の形式(対面型/オンライン型)を聞いた結果を見てみましょう。対面型とオンライン型を併用していた企業については、それぞれで社数をカウントして回答してもらっています。

文系では、対面型を「0社」(オンライン型しか経験していない)と回答した学生が53%と過半数に達しています[図表8]。対面型を経験した学生の社数内訳を見ても、「1社」が28%と3割近くある以外、「2社」以上はすべて1桁以下にとどまっています。
第123回 マーケティングを意識したインターンシップの設計が求められる時代
一方、オンライン型は、「0社」(対面型しか経験していない)はわずか9%にとどまり、こちらも「1社」の26%が最多ではあるものの、「2社」17%、「3社」15%、「4~5社」16%、「6~10社」も12%となるなど、複数社数の受験者も少なくありません。「11社以上」(「11~15社」~「21社以上」の合計)と回答した学生も5%いるなど、2022卒採用の面接は、オンライン型が明らかに主流となっていることが分かります。

理系ではこの傾向がさらに顕著です[図表9]。対面型を「0社」(オンライン型しか経験していない)と回答した学生は67%と3分の2に及ぶとともに、オンライン型を「0社」(対面型しか経験していない)と回答した学生はわずか3%です。オンライン型の社数内訳でも、「1社」の28%に続いて「2社」も24%と多くなっています。
第123回 マーケティングを意識したインターンシップの設計が求められる時代
続いて、オンライン面接を経験した学生を対象に、オンライン面接のタイプを聞いてみました。最も多かったのは、Zoom等のオンライン会議ツールを利用しての「WEB面接(オンライン会議方式)」で、文系98%、理系99%とほとんどの学生がこのタイプを経験しています[図表10]。オンライン面接を実施している企業においては、この形式を採り入れている企業がほとんどであるともいえます。
第123回 マーケティングを意識したインターンシップの設計が求められる時代
次に多かったのが、エントリーシート同様の事前選考や、一次面接で使用されることの多い「WEB面接(動画収録方式)」(文系27%、理系17%)です。学生の立場からすると、オンライン会議方式でのライブ面接は対面型の面接と同様に日時を指定されるのに対して、動画収録方式は指定された期間内であれば、24時間いつでも自分の好きな時間帯に面接を受ける(録画をする)ことができることが最大のメリットです。また、多くの場合、自分が納得するまで撮り直しができることも、学生にとっては有り難いところでしょう。

一方、企業側の立場からも、いつでも採用担当者の都合の良い時間帯で録画内容を確認することができるメリットがあります。その他、複数の担当者が時間を合わせることなくそれぞれ録画をチェックすることができる点や、不合格と判断した学生の面接を最後まですべて見なくても済むという効率的な点もメリットと受け取られているようです。近年はさらに、発言内容、音声・スピード、映像等のデータからAIが参考指標を提示してくれる機能も評価されているようです。

面接でのAIにはもう1タイプあります。それが、学生の回答内容に応じてAIが次の質問を投げ返す、まさに面接官の代わりを務めるタイプです。ただし、こちらのタイプはAIの質問と学生の回答がループ状態に陥ったり、面接時間が決まった時間内に終了しなかったりと、運用面ではまだ課題があるようです。採用している企業もまだ少ないようで、経験した学生も文系で5%、理系では1%とごくわずかにとどまります。

2020卒ペースの内々定率に

この記事にリアクションをお願いします!