企業の開催時期と学生の参加時期にズレ?

インターンシップに参加した(参加予定の)時期では、「修士1年9月(2020年9月)」が58%で最も多く、次いで「修士1年8月」が僅差の56%、「修士1年2月」が54%、「修士1年1月」が51%などとなっています[図表9]。「修士1年12月」も47%に上り、「修士1年1月」とそれほど大きな差はありません。
第119回 理系院生のインターンシップの参加時期や重視するプログラム内容とは ――HR総研×LabBase「2022年修了 理系院生の就職活動動向調査」
開催時期の分布を見た場合、かつては長期休暇と絡ませたサマーインターンシップ(8~9月)とウィンターインターンシップ(1~2月)の二つの大きな山ができ、その間の期間は比較的低調となる傾向がありましたが、年々「12月」や「11月」に開催する企業が増加し、それに伴って参加学生も増加の一途をたどっています。前述したように学生の研究や学業への影響が気になるところです。

さて、前回1月の本稿では、企業を対象に調査した2022年卒向けのインターンシップ開催時期を取り上げています。2021年卒採用のスケジュール遅れから、例年であればサマーインターンシップの開催ピークは8月であるところが9月になるなど、今回の学生の参加状況と符合する点もあるものの、サマーインターンシップとウィンターインターンシップのバランスなど符合しない点も見られます。もちろん、企業が開催するインターンシップの定員数も関係しますので、開催する企業数と参加する学生数の割合が必ずしも符合するとは限りませんが、参考までに二つのデータを一つのグラフにまとめたものが[図表10]です。学生の参加時期は、例えば[図表9]の「修士1年8月」を「2020年8月」とするなど、対応する時期に置き換えています。
第119回 理系院生のインターンシップの参加時期や重視するプログラム内容とは ――HR総研×LabBase「2022年修了 理系院生の就職活動動向調査」
サマーインターンシップとウィンターインターンシップの二つの山ができることは、開催企業数と参加学生数の双方で見られるものの、企業の側はサマーインターンシップよりもウィンターインターンシップの山(9月:40%→1月61)のほうがかなり高くなっているのに対して、学生は逆にウィンターインターンシップの山(9月:58%→2月:54%)はサマーインターンシップほど高くなっていません。企業には、「2021年卒採用のスケジュール遅れ」という理由があったかもしれませんが、あくまでも企業の事情であり、2022年卒(修了)の学生にとってはまったく関係のないことです。それどころか、コロナ禍で企業の採用数減少や採用中止といった就職環境の悪化を伝える報道が飛び交う中、不安に駆られた学生がサマーインターンシップに飛びついた姿が垣間見えます。前述したインターンシップ参加社数にもそれが表れているといえるでしょう。

また、サマーインターンシップをはじめ、昨年のうちに開催されたインターンシップから選考に進んでいる企業もあることから、ウィンターインターンシップへの参加がそれほど伸びていないことが考えられます。ウィンターインターンシップから始めようと考えた企業にとっては大きな誤算となっている可能性があります。

参加したインターンシップはオンライン型が主流

次に、参加したインターンシップの実施形態(対面型かオンライン型か)について見てみましょう[図表11]。「対面型」では「0社」が50%となっており、インターンシップに参加した半数の学生は「オンライン型」のみで参加していることが分かります。次いで、「1社」が31%、「2社」が13%と続き、「3社」以上は合計6%にとどまります。
第119回 理系院生のインターンシップの参加時期や重視するプログラム内容とは ――HR総研×LabBase「2022年修了 理系院生の就職活動動向調査」
一方、「オンライン型」の「0社」はわずか3%ですから、ほとんどの学生が一度はオンライン型のインターンシップに参加していることになります。最も多かったのは「4~6社」の29%で、次いで「2社」が17%、「1社」と「3社」が16%、「10社以上」が11%、「7~9社」が8%となっており、参加したインターンシップの実施形態は圧倒的に「オンライン型」が多くなっています。

また、参加したインターンシップの実施期間については、「対面型」も「オンライン型」もともに「1日」が最多となっているものの、特に「オンライン型」では「半日」、「1日」、「2~3日程度」の割合が多くなっています[図表12]
第119回 理系院生のインターンシップの参加時期や重視するプログラム内容とは ――HR総研×LabBase「2022年修了 理系院生の就職活動動向調査」
例えば、「1日」の割合を比較してみると、「対面型」の37%に対して「オンライン型」は63%で26ポイントもの差がつくなど、「オンライン型」は「対面型」の1.7~1.8倍のポイントとなっています。一方、「1週間程度」と「2週間程度」では「対面型」が「オンライン型」を上回っており、就業体験型のインターンシップはオンライン化の難しさが課題となっています。

さらに、参加したインターンシップのプログラム内容を見てみると、「会社説明、業界・事業紹介」が「対面型」と「オンライン型」ともに最多でそれぞれ76%、89%、次いで「ケースワーク・グループワーク」がそれぞれ63%、85%、「社員との交流(座談会など)」がそれぞれ53%、64%となっており、いずれも「対面型」より「オンライン型」の割合のほうが高くなっています[図表13]
第119回 理系院生のインターンシップの参加時期や重視するプログラム内容とは ――HR総研×LabBase「2022年修了 理系院生の就職活動動向調査」
本来であれば、「社員との交流(座談会など)」を「対面型」で実施することも可能ですが、社員の在宅勤務が進む中、対面型での実施が難しくなっている企業も多く、これらはいずれもオンライン型でのほうが実施しやすいプログラムということなのでしょう。一方「実務体験」と「現場見学」に関しては、やはり「対面型」の割合のほうが高く、それぞれ49%、40%と4割以上あるのに対し、「オンライン型」ではそれぞれ24%、15%にとどまります。

今年度はインターンシップのオンライン化が一気に拡大した年となりましたが、まだプログラム内容には偏りがあり、インターンシップの本来の目的である「就業体験」をオンラインで経験した学生は少数派であるのが実態のようです。

最も重要視するインターンシップは「対面での実務体験」

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