事前選考落選で4割以上の学生が応募取りやめ

インターンシップの事前選考で落選した学生が本選考に応募したかを確認したところ、文系44%、理系43%と、ともに4割を超える学生が「応募していない(する予定はない)」と回答しています[図表7]。これは前項の「志望度が下がった」学生の割合を超えています。すでに他の企業から内定を取得したとか、他に選考が進んだ企業があったからという学生もいるとは思いますが、これだけの割合の学生が応募を取りやめたという事実は極めて重大です。インターンシップは、参加者の志望度向上に大いに役立つことは分かっていますが、事前選考で落選した学生のケアを怠ると、かえって応募者を減らしてしまうリスクがあることも認識すべきです。インターンシップ参加者へ向けたフォローに気が行ってしまいがちですが、それよりも事前選考で落選となった学生をどうケアして、本番に正式応募してもらうかをもっと真剣に考える必要があります。
第78回 サマーインターンシップの振返り ―― 気になる選考、内定への影響は
落選企業からのフォロー(連絡)を聞いたところ、最も多かったのは、3月1日の採用広報解禁日の「エントリー受付開始の案内」で、文系・理系ともに39%の学生が受け取っています[図表8]。次いで多かったのは、落選したインターンシップの開催時期がいつだったかにもよりますが、サマーインターンシップの事前選考で落選した場合には、ウィンターインターンシップなど「次回のインターンシップの案内」が、文系19%、理系17%と多いようです。中には、「早期選考会の案内」が届いた学生もいるようですが、文系で4%、理系で5%と少数派です。
第78回 サマーインターンシップの振返り ―― 気になる選考、内定への影響は
インターンシップ参加者にも、参加企業からの連絡内容を同様に尋ねており、「早期選考会の案内」が文系で42%、理系でも39%と、「エントリー受付開始の案内」に次いで多くなっています[図表9]。「特別セミナーの案内」も、参加者では文系で39%、理系で28%と非常に多くなっているなど、インターンシップ参加者と、非参加者(落選者)では対応の違いが浮き彫りとなっています。
第78回 サマーインターンシップの振返り ―― 気になる選考、内定への影響は
落選企業からの連絡は「特にない」という学生も4割以上いますが、企業からのフォロー(連絡)の有無で、その後の正式応募率には10ポイント以上の差が出ています。フォローがあった企業へ「応募した(する予定)」と答えた学生は文理合計で60%だったのに対して、フォローがなかった企業へ「応募した(する予定)」と答えた学生は49%です。フォローがなかった企業について言えば、「応募していない(する予定はない)」とする学生は50%で、「応募した(する予定)」を上回っています。こうして見ると、落選学生へのフォロー、ケアはもはや必要不可欠といえます。皆さんはちゃんとフォローをされていますか?

内定者にインターンシップ参加者がいない企業は少数派

インターンシップを実施した企業を対象に、内定者に占めるインターンシップ参加者の割合を聞いたデータが[図表10]です。あくまでも結果論のため、インターンシップと選考が直接結び付いていたかどうかは関係ありません。
第78回 サマーインターンシップの振返り ―― 気になる選考、内定への影響は
インターンシップ参加者が内定者の中に1名もいない(0%)とする企業は、全体で28%、大手企業だけに限定すればわずか17%にとどまります。残り83%は、内定者の中にインターンシップ参加者が含まれるということになります。企業規模による違いは明らかにあり、インターンシップ参加者が1名もいない企業は、中堅企業では27%、中小企業では37%にも及びます。インターンシップ参加者自体が少なく、内定者も少ない企業が多いのでしょう。
内定者に占めるインターンシップ参加者の割合は、大企業ほど高くなっています。大企業では、インターンシップ参加者の割合が「20%以上」の企業が4割を超え、「40%以上」でも16%もあります。今後、1Dayタイプの拡大によりインターンシップ参加学生が増えれば、内定者に占めるインターンシップ参加学生の割合は確実にさらに高まっていくことでしょう。

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