最大のアピール項目は「チームで働く力」

学生は就職活動において、自身の強みをどのように捉えているのでしょうか。就職活動でアピールしたい能力について、複数選択で回答してもらった結果が、[図表4]です。

文系・理系ともに最も多かったのは「チームで働く力」で、文系では43%と4割台、理系では54%と半数以上となっています。「コミュニケーション能力」も多くの学生が挙げており、文系で38%、理系でも32%と3割以上に達しています。

文系では「考え抜く力」(35%)、「適応力」(33%)も3割以上となり、「目標達成指向」(28%)がそれに続きます。一方、理系では「適応力」のほか、文系ではそれほど多くない「論理的思考力」「基礎的な学力」も「コミュニケーション能力」と同じ32%に上ります。「考え抜く力」も29%と3割近い学生が挙げています。

文系と理系を比較すると、「異文化への理解力」は文系の17%に対し、理系は5%にとどまっています。また、「英語の語学力」「英語以外の語学力」も理系では1割未満で、ともに10%以上の文系より低くなっています。逆に、理系が文系よりも高い項目としては、「論理的思考力」「基礎的な学力」「専攻学問の専門知識」「データ解析能力」などがあります。文系の「専攻学問の専門知識」がわずか5%というのは、嘆かわしい現状です。
[図表4]就職活動でアピールしたい自分の能力(複数回答)

インターンシップの事前選考でも、まずはエントリーシート

ここからは、インターンシップについて取り上げます。

まず、インターンシップに参加した社数については、「0社」は文系21%、理系10%であり、文系の約8割、理系の約9割は1社以上のインターンシップに参加した経験があることが分かります[図表5]。最も多いのは文系・理系ともに「6~10社」で、文系が21%と約2割、理系が29%と3割近くに上ります。前年同時期に実施した2024年卒向け調査(以下、24年卒調査)とは選択肢区分が異なるため単純比較はできませんが、選択肢が同じ「0社」から「3社」までの合計で比較すると、24年卒調査では文系・理系ともに47%、今回25年卒調査では文系36%、理系39%で、ともに24年卒調査を下回っています。つまり、「4社」以上のインターンシップに参加した学生の割合が10%程度増えたことになります。

24年卒調査では最大値「10社以上」で、文系24%、理系20%でした。今回25年卒調査の最大値は「21社以上」で、「11~15社」から「21社以上」を合計した「11社以上」で比べてみると、文系では32%となり、24年卒調査の「10社以上」(24%)を大きく上回ります。一方、理系の「11社以上」は15%で、24年卒調査の「10社以上」(20%)を下回っていますが、「6~10社」が29%あり、このうち「10社」が占める割合によっては、24年卒調査を上回る可能性もあります。
[図表5]インターンシップ参加社数
そもそも学生は、企業側のキャパシティーの関係で、応募したすべてのインターンシップに参加できるわけではありません。では、どの程度の割合で参加できているのでしょうか。「応募企業のすべてに参加できた」とする割合は文系16%に対して、理系は30%と理系のほうが高くなっています[図表6]。「応募企業の1社にも参加できなかった」では、文系12%に対して理系はわずか3%と低く、理系のほうがインターンシップ参加の“事前選考”を通過しやすかったことが分かります。
[図表6]応募したインターンシップへの参加状況
では、事前選考の内容にはどのようなものがあるでしょうか。インターンシップ参加前に実施された選考について尋ねたところ(複数回答)、最も多かったのは「エントリーシート」で、文系で74%と7割台、理系で89%と9割近い学生がインターンシップに参加するために「エントリーシート」を提出したと回答しています[図表7]。次いで「適性検査」が文系57%、理系62%と6割前後に及んでいます。「学力検査」も比較的多く、文系41%、理系46%と4割台となっています。

そのほか、「グループディスカッション」と「面接」を挙げた学生も多く見受けられますが、理系では「グループディスカッション」(22%)より「面接」(32%)のほうが10ポイント高くなっています。これは、「面接」で専攻・専門内容をしっかり確認したいという企業側のニーズのほうが強いためと考えられます。
[図表7]インターンシップ参加前に受けた選考内容(複数回答)

理系は夏期休暇中に集中参加

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