内定出しを早めるなら「1カ月超」が大多数

次に、内定(内々定)出しの開始時期を見ていきましょう。従業員規模別に見ると、大企業では「2024年4月」が23%で最多となっています[図表3]。しかし、実際には「2024年2月」までに内定出しを開始している企業が56%と6割近くに達しています。「2024年4月」どころか、就活ルール上では採用広報解禁となる「2024年3月」に内定出しを開始する企業でさえ、“後半組”と言えそうなペースとなっています。

中堅企業も「2024年4月」が15%で最多ですが、その前後の「2024年3月」と「2024年5月」がいずれも13%、さらにその前後となる「2024年2月」と「2024年6月」がいずれも10%となるなど、「2024年4月」を中心に前後にピークを形成しています。ちなみに、内定出しを開始した企業割合が50%を超えるのは「2024年3月」(53%)となりますので、ピークの「2024年4月」は既でに“後半組”になります。

中小企業では、「2024年7月以降」が27%で最多ですが、同時期でピーク形成とは言えません。強いて挙げるなら2番目に多い「2024年3月」(16%)以降となるでしょう。なお、内定出しを開始した企業割合が50%を超えるのは「2024年4月」(56%)となっています。この“累計で50%超えとなる内定出し開始時期”を従業員規模別にまとめると、大企業が「2024年2月」、中堅企業が「2024年3月」、中小企業が「2024年4月」と、内定出し開始時期の違いが鮮明に表れています。
[図表3]2025年卒採用の内定出し開始時期
ところで、この内定出しの開始時期は、企業単位で見た場合にどの程度早期化しているのでしょうか。自社の2025年卒採用の内定出し開始時期を前年と比較してもらったところ、全体では「ほとんど変わらない」が圧倒的に多い78%と8割近くになります[図表4]。「遅くなる」と回答した割合はわずか1%で、残りの21%が「早まる(1カ月超または1カ月以内)」と回答しています。

従業員規模別に見ると、「遅くなる」は中小企業にのみ見られました。「ほとんど変わらない」と回答した割合は、中堅企業が73%と最も低く、大企業は85%にも達しています。「早まる」の内訳を見ると、中堅企業では「早まる(1カ月以内)」とする企業が10%ありますが、大企業と中小企業では2~3%にとどまり、「早まる(1カ月超)」が大企業で13%、中堅企業で18%、中小企業では20%と従業員規模が小さいほど高くなっています。「1カ月以内」と少し早める程度ではなく、1カ月超も早める企業が多いのは興味深いところです。「ほとんど変わらない」と回答した企業においても、他社の動向によっては計画よりも内定出しの開始時期が早まる可能性もあり、実際に「早まる」割合はさらに高まるものと予想されます。
[図表4]2025年卒採用の内定出し開始時期の前年比較
「早まる」または「遅くなる」と回答した企業にその理由を聞いていますので、一部を抜粋して紹介します。

【早まる】
・理系人材の早期選考を実施した(1001名以上、サービス)
・世間動向に合わせる(1001名以上、メーカー)
・学生との接触時期の早期化に連動して(1001名以上、メーカー)
・前年の反省点として、インターンシップの実施時期と内定出しの時期の2点が遅かったことが挙げられたため、内定出し時期を早めた(301~1000名、エネルギー)
・夏季インターンシップ参加者の早期面接をした(301~1000名、メーカー)
・学生の動きへの対応(301~1000名、メーカー)
・同業他社の内定出し早期化を踏まえ対応した(301~1000名、商社・流通)
・採用活動の開始が早まったため、必然的にオファーレターも早くなる(300名以下、メーカー)

【遅くなる】
・2024年卒は早期に内定出しをしたが、学生からの回答が遅く、結果として採用活動の長期化を招いたため(300名以下、メーカー)

「コミュニケーション能力」と「チームで働く力」を重視

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