採用活動予算は拡大傾向
ここからは、2025年卒採用の動向について詳しく見ていきましょう。まず、2025年4月入社の採用計画人数について前年比較の結果を紹介します。一部の企業が「未定」と回答していますが、どの従業員規模でも「前年並み」が最も多く、全体の5~6割台に上ります[図表3]。また、「増やす」と回答した割合と「減らす」と回答した割合を比べると、大企業では21ポイント、中堅企業でも19ポイント、「増やす」が「減らす」を上回っています。これまでの調査結果からも、採用活動の早期化が進んでいることが明らかであり、その背景を裏付ける採用意欲の高さを示す結果となっています。次に、採用計画人数を増やす企業が2割以上となる中、採用活動に伴う予算について見ていきましょう。採用広報やインターンシップ、セミナー・説明会、選考活動、内定者フォロー、移動費など、採用に関わる総予算について、前年との比較を行いました。全体では、64%が「ほぼ変わらない」と回答し、次いで「やや増える見込み(20%未満)」が25%、「かなり増える見込み(20%以上)」が6%となっています。これらを合わせた“増える”派は31%で、「やや減る見込み(20%未満)」と「かなり減る見込み(20%以上)」を合わせた“減る”派は4%にとどまりました[図表4]。従業員規模別に見ても、各規模で“増える”派が“減る”派を大きく上回っています。特に中堅企業では、“増える”派が41%と4割を超え、前記[図表3]における“採用計画人数を増やす”企業割合(29%)を10ポイント以上も上回り、予算が増加しているのは採用計画人数が増えた企業にとどまらないことが分かります。
最大の課題は「ターゲット層の応募者集め」
次に、2025年卒採用における課題について見ていきましょう。[図表5]によれば、「ターゲット層の応募者を集めたい」が全体で最も多くの企業で選ばれ、51%と半数を超えています。次に、「応募者の数を集めたい」と「内定辞退者を減らしたい」がともに31%、「大学との関係を強化したい」が29%でした。2025年卒採用においては、「ターゲット層の応募者を集めたい」が第一の課題であることが分かりました。では実際にはどの程度の応募者が集まっているのでしょうか。ターゲット層における、目標とする応募者数に対する実際の応募者数(プレエントリー数)割合を見ると、「100%以上」は大企業でも20%にとどまり、中堅企業16%、中小企業10%と、規模が小さくなるほど目標には達していない企業が多いことが分かります[図表6]。さらに、「80~100%未満」を加えた「目標人数の80%以上」では、大企業の45%に対して、中堅企業16%、中小企業17%と、大企業との差が広がっています。さらに目標人数を大きく下回る「0~10%未満」を見ると、大企業の8%に対して、中堅企業26%、中小企業に至っては51%という結果になります。広く応募者を集めるだけでも大変な時代に、中小企業において「ターゲット層の応募者を集める」ことがいかに難しい状況となっているかをうかがい知ることができます。