複数内定保有者が5割を超える

ここからは「内定」に関連する項目を見ていきます。まずは「内定社数」です。

文系全体の内定社数では、「0社(未内定)」が19%と2割を下回り、内定率は81%となっています[図表3]。最多は「1社」で29%、次いで「2社」23%、「3社」15%と続きます。「2社」以上の複数内定を保有している学生の割合は、53%と半数を超えます。
内定社数(文系)
大学グループ別に比較すると、「0社」は「旧帝大クラス」、「早慶クラス」、「上位私大クラス」では、11~15%と文系全体の数値を下回るのに対して、「中堅私大クラス」、「その他私立大学」では24~25%と大きく上回り、その差は10ポイント以上となっています。本稿の冒頭でも取り上げましたが、就職情報会社の内定率調査では全体の数字は発表されるものの、大学グループによる差異については一切発表されません。大学関係者はこのあたりをよく把握しておく必要があるでしょう。

続いて、理系の内定率についても確認してみましょう[図表4]。理系全体では、「0社」は12%となっており、内定率は文系を大きく上回る88%となっています。最多は文系同様に「1社」で33%、次いで「2社」23%、「3社」17%と続きます。「2社」以上の複数内定を保有している学生の割合は、文系よりもわずかに多い55%と半数を優に超えます。
内定社数(理系)
大学グループ別に比較してみると、「0社」は「旧帝大クラス」、「早慶クラス」、「上位国公立大クラス」、「上位私大クラス」では5~9%と、わずか1桁台となっています。一方、
「中堅私大クラス」、「その他私立大学」では19~20%と2割に及び、文系同様に大学グループによる差異が大きく見られます。

文系と大きく異なるのは、「2社」以上の複数内定を保有している学生の割合です。文系では、複数内定を保有している学生が最も多いグループは「上位私大クラス」の59%、最も少ないグループは「その他私立大学」の47%で、その差は12ポイントです。ところが、理系で複数内定を保有している学生が最も多いグループは「早慶クラス」の72%で7割を超えるのに対して、最も少ないグループは「その他私立大学」の43%で、その差は実に30ポイント近くもあります。「中堅私大クラス」と「その他私立大学」では、内定率こそ文系よりも理系のほうが若干高くなっているものの、複数内定保有率は逆に理系のほうが文系よりも低くなっています。選考辞退と同様に、活動量の差が影響しているものと推測されます。

理系の4割以上が5000名以上の大企業に内定

次に、「内定をもらった時期」について、文系と理系を比較してみましょう[図表5]。文系のピークは「2022年5月後半」の33%で、次いで「4月後半」29%、「5月前半」28%、「6月前半」23%が続きます。
内定をもらった時期(複数回答)
2021年中の内定を見てみると、最多はなんと「2021年5月以前」の5%(5.1%)で、次いで「12月」が5%(4.8%)、「6月」が3%となっています。早期の内定が出た時期として、「2021年5月以前」がトップであることに驚きます。サマーインターンシップすら始まっていない時期であり、「2021年5月以前」の具体的な時期は不明ながら、学年を問わず選考対象とする通年採用企業からの内定も含まれると思われます。

一方、理系を見ると、ピークは文系よりも早い「2022年4月後半」で27%、次いで「5月後半」が25%、「4月前半」が24%、「3月後半」が22%で続きます。「1月」はわずか1ポイントの差ですが、「2月」から「4月前半」はすべて4~6ポイントも理系のほうが文系よりも高くなっており、文系よりも1カ月程度早いペースで内定が出ていたことが分かります。

「内定をもらった企業規模」についても、文系と理系を比較してみましょう[図表6]。内定をもらった企業規模を、「1~100名」、「101~300名」、「301~500名」、「501~1,000名」、「1,001~5,000名」、「5,001名以上」の6区分に分けて比較してみたところ、「1,001~5,000名」は文系43%、理系42%とほぼ同程度となっています。
内定をもらった企業規模(複数回答)
ところが、「1~100名」から「501~1,000名」の中堅・中小企業においてはすべて文系のほうが高く、逆に「5,001名以上」の超大手企業だけは文系26%に対して、理系は43%と理系のほうが大きく上回っています。理系の内定先企業は、大企業比率が極めて高いことが分かります。理系の大手企業志向の高さは、漠然としたあこがれだけではなく、これら就職先(内定先)の実績を反映してのものだと言えそうです。

内定学生 文系7割、理系8割が就職活動を終了

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