タレントスクエア株式会社は2025年4月3日、「退職代行サービスの利用実態」に関する調査の結果を発表した。調査期間は2025年3月14日~17日で、退職代行サービスの利用経験がある1,110人から回答を得ている。調査結果から、退職代行サービスを利用した人がどのような転職を行なっているかが明らかになった。
「退職代行サービス」を利用した社員はどのように転職活動をしている? 転職代行の“利用タイミング”など実態が明らかに

7割以上が「退職代行サービス」を利用して“正社員として転職”

近年、その是非も含めて話題に挙がることの多い「退職代行サービス」。数年前までは無かった退職の形だが、その提供会社・利用者とも増加している中、離職防止に努めたい企業としては意識せざるを得ない存在だ。若手人材の獲得競争が激化する中、新入社員の退職代行サービス利用は防ぎたいところだが、実際に利用する人の転職の実態はどのようになっているのだろうか。

はじめにタレントスクエアが、「退職代行サービスを利用した後の現在の状況」について尋ねると、「正社員として転職した」との回答が73.8%で、7割を超えて最多となった。退職代行サービスを利用したのち、無事に正社員として転職に成功しているケースが多いようだ。

そのほか、「派遣社員として転職した」が8.7%、「契約社員として転職した」および「アルバイト・パートとして働いている」がともに5.1%で続いている。
退職代行サービスを利用した後の現在の状況

退職代行の利用タイミングは“転職先決定後”と“転職活動と並行”が多数に

次に、前質問で「正社員」、「派遣社員」、「契約社員」、「アルバイト・パート」のいずれかと回答した人に対し、「退職代行サービスの利用と転職活動のタイミング」について尋ねている。その結果、最多となったのは「転職先を決めてから退職代行を利用した」で46.7%、次いで「転職活動と並行して退職代行を利用した」が42.7%となった。

2回答の合計が89.4%と9割に迫る結果に対し、同社は「退職代行サービスを利用する人の多くは、退職後の不安を最小限に抑えるために事前に転職先を確保しているか、転職活動を既に始めている」との見解を示している。また一方で、「まず退職してから転職活動に臨む人も一定数存在しており、その背景には精神的な余裕や職場環境の差が影響している」との可能性もあるようだ。
退職代行サービスの利用と転職活動のタイミング

「退職代行サービス」利用でも転職活動はスムーズに進めている傾向か

続いて同社は、「退職代行サービスを利用した後、どのくらいの期間で次の仕事に就いたか」について尋ね、“転職活動のタイミング”ごとに集計した。まず“転職先を決めてから退職代行を利用した”という人の結果を見ると、「1週間以内」(42.1%)、「1週間~1ヵ月以内」(57.9%)と、全員が早期に次の仕事に就いていることが分かった。

他方、“転職活動と並行して退職代行を利用した”という人では、「1週間~1ヵ月以内」(34.9%)、「1~3ヵ月」(43.3%)、「3~6ヵ月」(10.7%)が多数回答となった。また“退職代行を利用して退職した後に転職活動を始めた”という人においても、同じく「1週間~1ヵ月以内」(16.4%)、「1~3ヵ月」(39.1%)、「3~6ヵ月」(20%)が多数となっている。転職活動と並行、転職活動を始める前に退職代行を利用した人は、3か月以内に転職先を決めており、退職代行サービスを利用後の転職活動はそれほど長期化しない傾向にあるようだ。
退職代行サービスを利用した後、どのくらいの期間で次の仕事に就いたか

「年収」面でのメリットに対し、「労働時間」面ではデメリットも

また、前問までと同じく「正社員」、「派遣社員」、「契約社員」、「アルバイト・パート」として転職・就労した人に対し、退職代行サービスを利用して転職した後の「年収の変化」および「残業時間の変化」についても尋ねている。

すると、「年収」については「上がった」が40.3%、「変わらない」が51.8%、「下がった」が7.9%という結果になった。なお、同社が参考として挙げた『令和6年上半期雇用動向調査結果』(厚生労働省)によると、転職して賃金が上がった人の割合は約4割、変わらなかった人の割合は約3割、減少した人の割合は約3割であったという。それに対して本調査では、退職代行サービスを利用した人の4割において年収が上がっており、下がった人は1割未満であることから、相場と比較して転職が良い結果につながっているようだ。

他方、「残業時間」については、「長くなった」が25.4%、「変わらない」が54.9%、「短くなった」が19.7%との結果になっている。「変わらない」とした人を除き、4割以上の人において残業時間に変化があったようだ。特に、「長くなった」との回答が「短くなった」との回答を上回っていることから、転職によって必ずしも労働時間の改善につながっているわけではないこともうかがえる。
退職代行サービスを利用して転職した後の「年収の変化」および「残業時間の変化」
本調査から、「退職代行サービス」を利用した人の多くが、その後は正社員としての転職をしていることが分かった。また、退職代行の利用タイミングは“転職先決定後”と“転職活動と並行”が多く、転職活動は比較的スムーズに進められている傾向のようだ。転職代行サービスが今後さらに“退職の常套手段”化してしまうと、企業における若手社員の離職リスクも高まってしまうかもしれない。今後もサービス利用の市況には注視が必要だろう。

出典:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000008.000107360.html

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