賞与額の“現実と理想”のギャップはどの程度?
国家公務員の冬ボーナスは12月10日に支給されることが定められており、民間企業でも12月10日前後から12月末にかけて支給されることが一般的だ。本記事では、マイナビが12月のボーナス支給を控えた11月に実施した、働く人の意識調査の結果を紹介する。まず、「2024年の冬に支給される賞与額(予想)」と「自分の仕事に見合う理想の賞与額」を尋ねると、それぞれの平均は予想額:50.4万円、理想額:87.3万円となり、両者のギャップは約37万円とかけ離れていた。
さらに「生活に最低限必要だと思う冬の賞与額」を尋ねたところ、平均は53.7万円で、予想額とのギャップは3.3万円だった。“理想”と“現実”には大きなギャップがみられ、実際に必要な額より、現実はやや低く感じている人が多いようだ。
約5割が「賞与の少なさ」による転職を経験。20代では「一番大きな理由となった」が3割
続いて、「賞与が少ない」ことを理由に転職した経験について尋ねたところ、約2人に1人(49.2%)が「転職した経験がある」と回答した。特に20代では30.6%が「1番大きな転職理由だった」と答えており、若年層において“賞与額の低さ”が転職の大きな要因となっている傾向が見られる。「賞与額」と「直近の評価」に納得感がない人は半数超に
次に、「前年の冬の賞与額に納得しているか」と尋ねた結果、半数を超える51.3%が「納得していない」とした。なお、納得感がない理由としては、「評価へのフィードバックがない」、「正当に評価されていない」などの意見が挙がっていたという。また、「賞与」と「評価の納得感」の相関係数を同社が計算すると、「0.736」とやや高い相関があることが判明した。“賞与額の納得感”における「会社からのフィードバック」の重要性
続けて、「会社からの賞与額についてのフィードバックの有無」を尋ねたところ、「ない」と答えた人は合計52.6%となった。反対に「丁寧なフィードバックがある」は18.9%と全体の2割未満で、「簡易的なフィードバックがある」は28.5%だった。年代別に見ると、何らかのフィードバックがあると答えた割合は「20代」が最多で、合計59.5%と6割に迫っている。若年層ほど、フィードバックを受ける機会は多いことがうかがえる。また、「賞与の納得感」に関する回答結果からは、「フィードバック」の有無と強い正の相関があることも見て取れた。「前年もらった冬の賞与に納得していない」との回答者は、全体の51.3%と半数を占めているものの、年代別に比較して「フィードバックの機会がある」人が多い20代では、他の年代よりも「納得していない」人の割合が低くなっている。「フィードバックの有無」と「賞与額の納得感」の相関係数は「0.504」であり、この結果について同社は、「フィードバックの有無は賞与への納得感に影響すると考えられる」との見解を示した。
リテンションを図るために企業ができる対策として、「フィードバックのルール化」や「公平で透明性のある評価制度の構築」がある。これらの適切な運用を通じて、従業員の納得感を高めモチベーション向上に取り組むことは、雇用流動化が進む中で引き続き重要になると言えそうだ。