株式会社マイナビは2024年11月28日、「2024年冬のボーナスと転職に関する調査」の結果を発表した。調査は2024年11月1日~4日に、20~50代の正社員で転職活動中または転職予定のある1,369人を対象に実施された。調査結果では、賞与額への納得感を高める上での“フィードバックの重要性”が浮き彫りになった。
【賞与と転職意向】納得感を高めるリテンションのカギは「フィードバック」。約5割が“ボーナス理由で退職”経験あり

賞与額の“現実と理想”のギャップはどの程度?

国家公務員の冬ボーナスは12月10日に支給されることが定められており、民間企業でも12月10日前後から12月末にかけて支給されることが一般的だ。本記事では、マイナビが12月のボーナス支給を控えた11月に実施した、働く人の意識調査の結果を紹介する。

まず、「2024年の冬に支給される賞与額(予想)」と「自分の仕事に見合う理想の賞与額」を尋ねると、それぞれの平均は予想額:50.4万円、理想額:87.3万円となり、両者のギャップは約37万円とかけ離れていた。

さらに「生活に最低限必要だと思う冬の賞与額」を尋ねたところ、平均は53.7万円で、予想額とのギャップは3.3万円だった。“理想”と“現実”には大きなギャップがみられ、実際に必要な額より、現実はやや低く感じている人が多いようだ。
冬ボーナスの金額について
次に同社が、「2024年の冬のボーナスは、物価高を考慮した額で支給されると思うか」を質問したところ、全体の61.4%が「考慮されると思わない」と答えた。過半数が“物価高対応への期待は薄い”と感じていることが明らかとなった。
冬ボーナスの物価高考慮について

約5割が「賞与の少なさ」による転職を経験。20代では「一番大きな理由となった」が3割

続いて、「賞与が少ない」ことを理由に転職した経験について尋ねたところ、約2人に1人(49.2%)が「転職した経験がある」と回答した。特に20代では30.6%が「1番大きな転職理由だった」と答えており、若年層において“賞与額の低さ”が転職の大きな要因となっている傾向が見られる。
賞与が理由の転職経験

「賞与額」と「直近の評価」に納得感がない人は半数超に

次に、「前年の冬の賞与額に納得しているか」と尋ねた結果、半数を超える51.3%が「納得していない」とした。なお、納得感がない理由としては、「評価へのフィードバックがない」、「正当に評価されていない」などの意見が挙がっていたという。また、「賞与」と「評価の納得感」の相関係数を同社が計算すると、「0.736」とやや高い相関があることが判明した。
賞与額と評価の納得感

“賞与額の納得感”における「会社からのフィードバック」の重要性

続けて、「会社からの賞与額についてのフィードバックの有無」を尋ねたところ、「ない」と答えた人は合計52.6%となった。反対に「丁寧なフィードバックがある」は18.9%と全体の2割未満で、「簡易的なフィードバックがある」は28.5%だった。年代別に見ると、何らかのフィードバックがあると答えた割合は「20代」が最多で、合計59.5%と6割に迫っている。若年層ほど、フィードバックを受ける機会は多いことがうかがえる。

また、「賞与の納得感」に関する回答結果からは、「フィードバック」の有無と強い正の相関があることも見て取れた。「前年もらった冬の賞与に納得していない」との回答者は、全体の51.3%と半数を占めているものの、年代別に比較して「フィードバックの機会がある」人が多い20代では、他の年代よりも「納得していない」人の割合が低くなっている。「フィードバックの有無」と「賞与額の納得感」の相関係数は「0.504」であり、この結果について同社は、「フィードバックの有無は賞与への納得感に影響すると考えられる」との見解を示した。
賞与額と評価の納得感の相関分析
本調査結果は、転職活動中もしくは検討中の正社員を対象にしたもので、「転職意向」と「賞与」には高い相関が見られた。しかし、たとえ報酬額の大幅な増額が難しい場合でも、適切なフィードバックを行うことで従業員の納得感を高められる可能性があることが示されており、人事施策の現状に重要な示唆を与える結果でもあった。

リテンションを図るために企業ができる対策として、「フィードバックのルール化」や「公平で透明性のある評価制度の構築」がある。これらの適切な運用を通じて、従業員の納得感を高めモチベーション向上に取り組むことは、雇用流動化が進む中で引き続き重要になると言えそうだ。

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