人材不足は緩和傾向、4割がテレワークを導入、経営施策上不安に感じていることのトップは「コロナ禍の長期化」
学校法人産業能率大学総合研究所では、企業の経営者を対象に経営環境認識や経営方針・施策などを尋ねる調査を実施しました。この調査は、2011年から毎年発表しており今回で11回目となります。調査はインターネット調査会社を通じて実施し、従業員数6人以上の企業経営者(経営トップ)723人から回答を得ました。調査期間は2020年11月20~24日です。今回の調査では、コロナ禍が経営に与える影響が色濃く反映されました。
今年(2021年)の自社の業績見通しについては、前年(2020年)に比べて“大幅に下回る”が8.6%、“やや下回る”が21.4%といずれも過去最高になり、非常に厳しい様子がうかがえます。また、向こう3年間で経営施策上不安に感じていることを複数回答で尋ねたところ、トップは「コロナ禍の長期化」(68.6%)で、以下「世界的な景気後退」(39.3%)、「労働力人口の減少および高齢化」(38.3%)と続きました。
人員の過不足状況について尋ねたところ、「不足している」と回答したのは42.7%で過去最低となりました。逆に「過剰である」は10.44%で過去最高となり、人手不足は緩和している状況です。
今春(2021年4月)入社の大学生新卒採用活動を「実施した」とする回答は19.1%で前年よりも3.4ポイント減少しました。昨年(2020年)に中途採用活動を「実施した」のは47.6%で過去最低となりました。また、今年(2021年)の中途採用活動の実施予定については、「中途採用の予定がある」と回答したのは49.2%で前年よりも11.2ポイント減少し、同じく過去最低となりました。
新型コロナウイルス感染拡大による経営への影響がいつまで続くかについては。「あと2~3年は続く」(33.3%)と「見通しは立たない」(18.3%)が1位・2位となり、悲観的な予測が多数を占めました。コロナ禍は、簡単には収束しないと考えられています。
テレワーク制度については、「コロナ禍以前から導入していた」(17.0%)と「コロナ禍をきっかけに導入した」(22.4%)を合わせた39.4%がすでに導入済みで、「導入していないが導入を検討している」(8.2%)を合わせて47.6%と約半数が前向きに取り組んでいます。
その他、景気動向予測などのマクロ視点から副業制度の導入状況などの個別施策まで、さまざまな質問に答えていただきました。