人事教育担当者の視点から人的資本経営を考える
この調査では、「人」への投資が重要とされる中で、教育費の動向や人材に対する基本的な考え方、リスキリングへの対応など人材マネジメント全般に関する取り組み状況を調査しております。特に人的資本経営の実現のかなめとされる‟経営戦略と人材戦略の連動“については、連動状況別に見たときの人材マネジメント活動がどう影響しているのかを詳細に分析しております。
トピックとなるデータをご紹介します。詳細は報告書をご参照ください。
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<注目データ>
1.教育費の動向
◆売上高、経常利益が「増加した」企業は5割強、教育費が「増加した」企業は3割。
2020年度と比較した2021年度の「売上高」、「経常利益」、「教育費」増減状況をたずねたところ、「売上高」と「経常利益」については、「増加した」が5割強となっています。「教育費」についても約3割が「増加した」と回答し、昨年度の調査との比較でも4.5ポイント高くなっています。
2.人材戦略と経営戦略の連動性
◆6割の企業が人材戦略と経営戦略の連動に取り組んでいる。
人的資本経営の実現には、経営戦略と人材戦略が連動していることが最も重要であることが、人材版伊藤レポートでも示されています。調査結果では、「人材戦略は、経営戦略と相互に関連づけて同時に策定される」が23.5%、「人材戦略は、経営戦略に従って逐次的に策定される」が35.9%でした。この2つを合わせると59.4%と約6割の企業において、経営戦略と人材戦略は連動しています。
3.人に関する費用の考え方
◆人材戦略と経営戦略が連動する群は「戦略的投資」、連動しない群は「コスト」。
人に関する費用を“コスト”と捉えるか、“戦略的投資”と捉えるかは、先の質問の人材戦略と経営戦略の連動状況により明確に差が出ました。
「同時策定群」では「戦略的投資」という回答が33.8%と全体データの2倍になっており、「逐次策定群」でも19.5%と全体データを上回っています。一方、「人材戦略なし群」は、「コスト」と考える割合が36.6%と高く、「別々に策定群」も26.1%となるなど、人材戦略と経営戦略の連動状況で顕著な差が見られました。
4.CHOの有無
◆人材戦略と経営戦略の同時策定群は、6割超の企業でCHOを設置している。
CHO、もしくは戦略的に人材マネジメントを推進する担当役員がいるかどうかをたずねたところ、全体では「いる」が31.2%、「いない」が68.8%でした。
この回答を人材戦略と経営戦略の連動状況別に確認したところ、「同時策定群」では6割超の企業がCHOあるいは担当役員を設置していることが分かりました。人事部長が人事部門の統括責任者であることに対して、CHOは役員として経営陣に加わり、経営戦略の策定に携わります。つまり、経営方針を理解し、経営戦略上で人的課題を検討することが容易となります。
5.リスキリングの認知度
◆企業のリスキリングの認知度は7割弱、昨年よりも30ポイント増加。
「リスキリング」は、政府の「骨太の方針」でも重要視されている施策です。
そこで、「リスキリング」という言葉を知っているかどうかをたずねたところ、2021年度の調査結果では、「はい」が36.0%、「いいえ」が64.0%でしたが、2022年度の調査では、「はい」が67.5%、「いいえ」が32.5%と、「はい」と「いいえ」の比率が逆転しました。認知度は30ポイント増加し、この1年の間で急速に広まったと言えます。
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詳細は下記サイトをご参照ください。