すべての人が活躍できる組織づくりを促進する 「組織変革のためのダイバーシティ」とは

「組織変革のためのダイバーシティ」の概念を組織に定着させるために発足

立ち上げに参加したのは、東京大学大学院教育学研究科附属バリアフリー教育開発研究センター・星加良司准教授と同センター・飯野由里子特任助教、西田玲子特任研究員そして企業のダイバーシティ担当者や研修プランナー・ファシリテーターの面々だ。 星加准教授は「マジョリティが気づかないことも、マイノリティに視点を置くことで見えてくることがある」という。

今回のオリエンテーションは、3月のキックオフ・カンファレンスを前に関係者の概念理解、情報共有を促すために開催されたもので、星加准教授のグループが開発した「多様性への理解促進を目的としたワークショップ」のプログラムや今後の展開などが伝えられた。ワークショップは具体的に下記の3セクションからなり、多様性に対する見方を揺さぶり、新たな理解を促す内容となっている。

1．クイズ＆ギャンブルゲーム
2．ストーリー「車いすの村の寓話」
3．ダイバーシティの6フェーズ

（1）クイズ＆ギャンブルゲームは、多様性の中に含まれる立場の違いと、それによって生じるリアリティの違いを、ゲームを通じて体感するというもの。（2）車いすの村の寓話は、マジョリティの作る社会の障壁を理解し、公平性の観点からダイバーシティを考えるもの。そして（3）ダイバーシティの6フェーズは、ダイバーシティを企業の中で活かす6つの概念を学び、短期的な有用性に留まらない企業における「効果」について理解を深めるものとなる。この日は星加准教授より「車いすの村の寓話」「ダイバーシティの6フェーズ」について紹介された。

知見とニーズのインターフェイスとして

3月14日に東京大学本郷キャンパスで開催されるキックオフ・カンファレンスを皮切りに、その活動をスタートさせる。その後は一般社団法人によるOTDコミュニティの運営、認定講師の育成、企業でのOTDワークショップ提供など企業におけるダイバーシティ推進に尽力していく方針だ。 今回の取り組みに際し、企業人事への想いを星加准教授に伺った。

「大学の持つ知見と社会的ニーズをうまくマッチングすることで優れたコンテンツが生まれることがあります。一方で、障害の社会モデルという考え方は30年前に始まっているにも関わらず、広く知られているとは言い難い。それは社会とのマッチングがうまくいっていないからです。OTDはそれらをつなぐインターフェイスとしての取り組みです。とはいえ、私たちもスキームが完全に見えているわけではありません。一緒に仕組みを作るつもりで企業の方には参加してほしいと思います」
「組織変革の出発点は、いかに様々なことが見えていないか、見方や考え方が枠にはまっているかを自覚すること。そこに働きかけ、変革のきっかけを作りたい」

また、本団体を牽引する一般社団法人ALIVE 代表理事／合同会社CONNECTIVE代表社員の庄司 弥寿彦氏は「企業のダイバーシティや人材開発向けの体系的で実践的な学びの場を、東大の研究チームと有志の仲間でこのたび発足することにいたしました。星加准教授の研究と企業ニーズを接続しなければならないという使命感を持っている。キックオフ・カンファレンスでは、是非この取り組みがどのような内容なのかを幅広い方に知ってもらいたいと思います」と意欲をみせた。

2020年の東京オリンピック・パラリンピックへ向けて、「心のバリアフリー」とユニバーサルデザインの街づくりが政府により推進されている今、あなたの会社の現状を知るためにもキックオフ・カンファレンスに参加してみてはいかがだろうか。

「組織変革のためのダイバーシティ（OTD）研究会」 キックオフ・カンファレンス

【主催】
東京大学大学院教育学研究科附属バリアフリー教育開発研究センター
「組織変革のためのダイバーシティ（OTD）研究会」発足準備委員会

【日時】
2019/03/14（木）13:00〜20:00

【場所】
東京大学本郷キャンパス

【プログラム内容】
第1部　ワークショップ　13:00〜14:45（開場受付12:30〜）
第2部　集合セッション　15:00〜18:00（開場受付14:30〜）
第3部　ネットワーキング　18:30〜20:00（開場受付18:00〜）
※1部500円、2部500円、3部3,000円

【参加者】
企業のダイバーシティ関連部門責任者・担当者・マイノリティ当事者
ダイバーシティに関連する研修企業
※入会要件あり

【お申込み・お問合せ】
https://otdkickoff.peatix.com/