小田急電鉄株式会社は2024年8月27日、沿線地域とともに持続的成長を果たしていくことを目的として、同日に「小田急グループ カスタマーハラスメント対応方針」を策定したことを発表した。同社はこれにより、カスタマーハラスメントに該当する行為に対して毅然と対応できる環境を整備することで、将来にわたって顧客を思い、寄り添うサービスを提供していくとしている。
「小田急グループ カスタマーハラスメント対応方針」の策定を小田急電鉄が発表。“カスハラ行為例”などを挙げ対策の姿勢示す

顧客からの“カスハラ行為”を受け、「カスタマーハラスメント対応方針」を策定

小田急グループは、『お客さまの「かけがえのない時間(とき)」と「ゆたかなくらし」の実現に貢献する』とのグループ経営理念のもと、顧客の日々の生活の役に立つべく、さまざまなグループ事業を展開しているという。小田急電鉄は、この理念の実現のためには顧客や取引先、地域住民をはじめとしたあらゆる人々とともに、グループ従業員の人権が尊重されていることが重要であるとしており、2024年1月には「小田急グループ人権方針」を策定して、取り組みを推進している。

こうした中、同グループのサービスを利用する顧客の一部から、暴行・暴言や威圧的な言動、過度な謝罪要求をはじめとした“カスタマーハラスメント行為”を受けることがあるという。同社はこれらの行為について、「上質なサービス提供を真摯に目指す当社グループ社員の尊厳を傷つけるだけでなく、周囲のお客さまへ本来提供するべきサービスを提供できなくなる事態にもつながるもの」と捉え、今般、「カスタマーハラスメント対応方針」策定した。

今回策定された「カスタマーハラスメント対応方針」の詳細は、以下の通り。

1.カスタマーハラスメントの定義
お客さま等からのクレーム・言動のうち、要求内容の妥当性に照らして、当該要求を実現するための手段・態様が社会通念上不相当なものであって、その手段・態様によって当社グループ従業員の心身の安全や健康または就業環境が害されるもの、あるいは当社グループの業務が不当に妨害されるもの

2.カスタマーハラスメントに該当する行為の例
●身体的、精神的な攻撃(暴行、傷害、脅迫、中傷、名誉棄損、侮辱、暴言)
●威圧的な言動、土下座の要求
●継続的・執拗な言動
●拘束的言動(不退去、居座り、監禁)
●差別的な言動、性的な言動、つきまとい
●従業員個人に対する攻撃、要求、権利侵害
●従業員の個人情報等のSNSやホームページ等への投稿(写真、音声、映像の公開)
●当社グループまたは従業員の信用を棄損させる行為
●正当な理由のない商品交換、金銭補償、返品・返金、謝罪の要求
●不合理または他のお客さま等との公平性を欠くサービス提供等の要求
※上記は一例であり、これに限りません

3.カスタマーハラスメントへの対応姿勢
●お客さま等からカスタマーハラスメントに該当する要求や言動が行われた場合には、それ以降の対応はお断りします
●必要に応じて、警察への通報や弁護士への相談等の措置を講じ、厳正に対処します

4.当社グループ内での取り組み
●本方針による対応姿勢の明確化、従業員への周知・啓発
●カスタマーハラスメントへの対応手順の策定
●従業員教育・研修の実施
●従業員のための相談・報告体制の整備

5.本方針の対象会社
小田急グループ全社
近年、顧客からの不当な要求や理不尽なクレームなど、「カスタマーハラスメント(カスハラ)」が社会問題化している。社内での心理的安全性が保たれた状態であっても、社外からの攻撃によって従業員が精神的ダメージを負い、休職や離職などに追い込まれては、企業としても大きな損害だ。サービス業をはじめとして、カスタマーハラスメントが起こりやすい業種においては、“カスハラ対応”に関する方針を定めることが必要ではないだろうか。

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