株式会社Voicyは2024年4月9日、「若手社員への育成に関する意識調査」の結果を発表した。本調査期間は2024年3月25日~27日で、20代~50代の会社員および会社役員・経営者645名から回答を得ている。本調査結果から、若手社員を指導する立場の人の、「ハラ萎縮」の経験有無と年代別の割合、厳しく言えないことによる弊害などが明らかとなった。
逆ハラを気にして厳しいことを言えない…“ハラ萎縮”経験者は7割以上。若手社員育成における深刻な弊害の事例も

7割以上の上司・先輩が「ハラ萎縮」を経験。「逆ハラ」を意識し厳しく言えない実態

近年はハラスメントに対する世間の意識が高まっており、部下から上司へのパワーハラスメントである「逆ハラ」を意識し、若手社員への指導に難しさを感じている上司もいる。若手社員を指導する立場の上司・先輩などは、若手社員の育成に対してどのような考えを抱いているのだろうか。

はじめにVoicyは、「逆ハラを意識し若手社員へ厳しいことを言うのを躊躇したことがあるか」を尋ねた。すると、「どちらかといえば躊躇している」(41.2%)が最多で、以下、「躊躇している」(18.6%)、「よく躊躇している」(15.7%)と続いた。合算すると75.5%と、7割を超える人が「ハラ萎縮」(逆ハラを意識し、厳しい指導を躊躇すること)の経験があるとわかった。
逆ハラを意識して、若手社員へ厳しいことを言うのを躊躇したことがあるか

“ハラ萎縮”を意識するのは「50代」が最多。上の年代ほど躊躇の度合いが高い結果に

続いて同社は、前質問の回答を年代別にまとめた。「よく躊躇している」の回答でみると、「50代」(17.5%)が最も多かった。以下、「40代」(16.5%)、「30代」(12.3%)、「20代」(10.5%)と続き、年代が上がるごとに躊躇の度合いが高まると示された。
年代別・逆ハラを意識し若手社員へ厳しいことを言うのを躊躇したことがあるか

若手社員に言えないことは「嫌なこともやらなきゃいけない」、「まずやってみて」など

次いで同社が「若手社員に伝えたいけど、逆ハラを気にして言えないこと」を聞いたところ、「嫌なこともやらなきゃいけない」(47.3%)が最も多かった。以下、「納得いかなくてもまずやってみて」(45.3%)、「まずは質より量である」(25.9%)と続いた。
若手社員に伝えたいけど逆ハラを気にして言えないこと

“ハラ萎縮”によって考えられる弊害は「若手が成長しない」が最多

最後に同社は、「若手社員に厳しくできないことで考えられる弊害」を尋ねた。すると、「若手が成長しない」(59.5%)が最も多く、続いて「組織運営がうまくいかない」(41.4%)、「事業が伸びない」(38.3%)となった。

また、自由回答には「優しくしすぎて、結果的に若手を何人も潰す上司がいる」、「当たり障りない指導になりがち」といった声が寄せられたという。この結果を踏まえて同社は、「ハラスメントと指導のバランスの難しさを抱えていることが見受けられる」とコメントしている。
若手社員に厳しくできないことで考えられる弊害
本調査結果から、7割以上の上司等が「ハラ萎縮」を経験しており、躊躇の度合いは年代が上がるほど高まることがわかった。逆ハラを意識しすぎると、若手社員の成長だけでなく、組織運営にまで影響をおよぼすことも懸念される。このような調査結果を参考に、一度自社でも、組織のコミュニケーションのとり方について考えてみるとよさそうだ。

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