カスハラ被害は「若い男性」や「金融・保険業」で多い傾向。20代は約4割が経験あり
近年、サービス業を中心に「カスタマーハラスメント(カスハラ)」問題が深刻化している。東京都は2024年10月に「東京都カスタマー・ハラスメント防止条例」(以下、東京都カスハラ防止条例)を、全国で初めて可決・成立。2025年4月1日から施行される。また、厚生労働省も「カスタマーハラスメント対策企業マニュアル」の策定からさらに踏み込んで、企業が従業員を保護することを義務づける法改正案を2025年に向けて整備中だ。そうした中、カスハラの実態や、それに対する企業の対応はどの程度進んでいるのだろうか。まず、インターワイヤードが「過去1年以内にカスハラを受けた経験があるか」と質問すると、「受けたことがある」との回答は全体の3割近くに上った。カスハラの内容として最も多いのは「大声での恫喝や暴言を吐かれる」(12.3%)で、以降は「当初のクレームとは関係のない対応者のミスを執拗に責める。揚げ足取り」(9.3%)、「長時間にわたる拘束・居座りや、電話を切ってもらえない」(7%)と続いた。
また、「カスハラを受けたことがある(被害者)」とした人の割合を属性別に見てみると、性差では「男性」が32.9%、「女性」が25%だった。年代別では、「20代」が42%で最も多く、「30代」が37.5%と続いた。さらに、所属する組織の業種別では、1位が「金融・保険業」の38.2%、次いで「卸売り・小売業」(37.1%)が続いた。
カスハラ対応「上司と協力」は3割にとどまる。「一人で対応」も同等の割合に
次に、カスハラを受けたことがある人に「初期対応として行ったこと」を尋ねた。すると、全体では「上司に相談し、一緒に対応してもらった」が31.4%と最多となり、僅差で「自分一人で対応した」(31.1%)が続いた。また、同質問では年代別で結果に違いが見られ、20代は「カスハラに気づいた上司が一緒に対応した」が31%でトップ、30代は「先輩や同僚に相談し、一緒に対応してもらった」が39.2%でトップとなっていた。他方、50代は「自分一人で対応した」が52.1%と半数を上回って最も多かった。さらに、全体2位の「自分一人で対応した」を選択した人に理由を聞くと、39.8%が「自分一人で対応できたため、誰にも相談しなかった」と回答。以降は「そもそも一人勤務(ワンオペ)だったため」が22%、「上司に相談したが、対応してもらえなかった」が16.9%となっており、一人で対応せざるを得ない職場も一定数あることがうかがえた。