全体の5.3%が自身を「性的マイノリティである」と考えている
性的マイノリティへの理解を広めるための「LGBT理解増進法」が、2023年6月16日に参議院で可決・成立した。成立まで7年をかけた法律だが、当事者からは「理解を広める法律ではなく、差別を助長しかねない」との懸念を訴える声もあがっている。そうした中、企業における性的マイノリティ(LGBTQ+)への対応は、どのように行われているのだろうか。はじめにアデコは、「自身を性的マイノリティであると考えていますか」と質問した。すると、「はい」が5.3%(105人)、「いいえ」が85.9%(1,717人)、「わからない」が8.9%(178人)という結果だった。
「性的マイノリティ当事者」のうち職場でのカミングアウトは4人に1人
続いて、前設問で「性的マイノリティ当事者である」と回答した会社員(105人)に対し、「現在の職場で自身が性的マイノリティであることを公言(カミングアウト)しているか」を同社が尋ねた。その結果、「している」が26.7%、「していない」が73.3%だった。職場でカミングアウトしている人は、4人に1人程度と少数であることがわかった。性的マイノリティ当事者の約6割が「勤務先に相談相手がいる」と回答
次に同社は、「性的マイノリティ当事者である」とした回答者に対し、「勤務先には、自身の性自認や性的志向に関する悩みについて相談できる相手はいるか」と質問した。すると、「大勢いる」(12.4%)と「少数だがいる」(46.7%)の合計は59.1%となった。約6割は、職場の誰かに悩みを相談できていることがわかった。「勤務先が性的マイノリティのための制度導入などを行っている」との回答は2割以下
続いて、同社が全体に対し、「勤務先では、性的マイノリティのための制度導入や理解促進のための取り組みをしているか」を尋ねた。その結果、「している」が18.5%、「していない」が81.5%だった。LGBTQ+に関する取り組みは「性的マイノリティに関する研修の実施」が最多
また、前設問で「勤務先が性的マイノリティのための制度導入や理解促進のための取り組みを行っている」と回答した人に対し、「具体的に取り組んでいる内容」を尋ねた。すると、「性的マイノリティに関する研修の実施」(47.3%)が最多となり、以下、「性的マイノリティのための相談窓口の設置」(32.4%)、「企業として性的マイノリティ支援の活動に参加」(31.6%)、「同性カップルに異性カップルと同じ福利厚生を適用」(23.2%)と続いた。女性の3割、男性の1割弱が「性別が理由の不利益を感じたことがある」と回答
次に、「自身を性的マイノリティであるとは考えていない」と回答した会社員(以下、シスヘテロの会社員)1,717人に対し、「これまでのキャリアにおいて、性別が理由で不利益をこうむったことはあるか」を尋ねた。すると、女性の30.4%(261人)、男性の7.5%(64人)が「ある」と回答した。また、「不利益をこうむった内容」については、女性では「給与や賞与に差をつけられた」、男性では「正当な評価を受けられなかった」が、それぞれ最多だったという。