法案への賛同により、一人ひとりの性的指向・性自認における多様性を尊重
国際連合人権理事会は2011年、「ビジネスと人権に関する指導原則」を承認し、国際連合はLGBTに対する差別解消に向けて「企業向け行動基準」を策定した。これを機に、グローバル企業ではLGBT人権を擁護するべく、さまざまな取り組みを進めている。70以上の国や地域の出身者で、多様なバックグラウンドを持つ従業員を抱える楽天では、企業理念に「イノベーションを通じて、人々と社会をエンパワーメントする」を掲げている。同社は、ダイバーシティ&インクルージョン(以下、D&I)の取り組みを企業戦略におけるひとつの柱としており、さまざまな個性や価値観、才能を持つ従業員が、自分らしく働けるよう環境を整備してきた。
例えば、就業規則の人事基本理念において「人種、性別、信仰、婚姻歴、子女の有無、宗教や政治思想、年齢、性的指向、性自認」などによって「差別しない」ことを規定。2016年には、同性パートナーも配偶者とできるよう社内規定を変更し、慶弔休暇や見舞金などの福利厚生が受けられるようになった。また、「性別を問わず使える多目的トイレの導入」、「オンラインとオフラインの相談窓口設置」、「理解促進に向けたオープンセミナーの開催」など、D&Iに関するさまざまな活動を積極的に取り入れてきた。さらに、顧客やビジネスパートナーを含むあらゆる人々に対しても、一人ひとりの個性や価値観が尊重されるようなサービスの提供に努めている。
同社は今回、「理解増進法案」の制定とともに、「LGBT平等法」を目指している「ビジネスによるLGBT平等サポート宣言」にも賛同を表明した。自社が取り組む「D&Iの推進」や「人々が差別を受けることなく安心して生活や活躍ができる社会づくり」、さらには「日本のイノベーション力・国際競争力の向上」にとって、これらの考え方が必要不可欠なものだと捉えているとのこと。従業員一人ひとりの多様性を尊重し、差別や偏見を受けることのない社会の実現に向けて取り組んでいくという。
「性差別の廃止」は世界的な取り組みでありながら、日本における法制度は十分に整備されていないのが現状だ。このような企業をあげた取り組みを通し、誰もが働きやすい環境作りに努めてみてはいかがだろうか。