社長との心理的距離はリモートワークに影響されるのか?
リモートワークが普及するなか、ビジネスパーソンが感じる「社長や上司、同僚との気持ちの上での距離(以下、心理的距離とする)」はどのように変わったのだろうか。はじめに、「社長との心理的距離」について尋ねた。その結果、「違う都道府県にいる感覚(500キロメートルくらい)」が23.9%と最も多かった。次いで、「別の部署、別のフロアにいる(30メートルくらい)」が21%だった。
中には「違う星にいる(4億キロメートルくらい)」(14.4%)や「海を隔てている、違う国にいる(1万キロメートルくらい)」(10.8%)など、社長との距離は「1万キロ以上ある」だと感じている回答者を合わせると25.2%となった。
自由回答では、リモートワークによって「以前よりもオンラインのコミュニケーションの機会が持てている」という肯定的な声もある一方で、「社長と直接会う、話す機会は減った」、「社長からの発信はない・思いが伝わらない」といった声も寄せられた。
社長よりも上司や同僚の方が「身近に感じる」
続いて、「社長、上司、同僚との“物理的距離”と“気持ち上の距離”をどう感じているか」を尋ねた。社長に対する回答では「気持ちの上での距離の方が遠い」とした人が41.4%となり、4割を超える社員が、社長と「心理的距離がある」と感じていることが明らかとなった。「気持ちの上での距離間の方が近い」と回答とした割合は、対社長では15.4%、対上司では30%、対同僚では35.1%となり、上司や同僚に対しては3割を超えた。
心理的距離の近さは、「仕事へのモチベーション」にも影響している
また、「気持ちの上での距離と仕事に対するモチベーションの関連性」を調べると、相手が社長、上司、同僚とすべての場合で、気持ちの上での距離が「近い」と感じている人ほど、仕事に対するモチベーションは高くなる傾向にあると判明。「心理的距離の近さ」は、安定的な関係の実感や心理的安全性につながり、個人の内発的なモチベーションを支えているようだ。リモートワークの増加で重要度が見直されている「雑談」や「対話」
次に、「リモートワークの増加で重要度が増したこと」を聞いた。最も多かったのは、「同僚や上司との雑談」で48.3%だった。以下、「直属の上司との対話」が43.7%、「部門などの枠を超えた、社内コミュニケーションの場」が43.3%、「社長など経営トップから従業員に向けた、今後のビジョンや方針等を伝えるメッセージ」が42.7%と続いた。会社への「愛着形成」が高まる取り組みにはどのようなものがある?
最後に、「会社との心理的距離を縮める上で役立つ施策は何か」を尋ねたところ、「やりがいのある仕事ができること」が42.3%で最も高くなった。以下、「自分の仕事への評価に納得できること」が36.4%、「職場の人間関係に満足できること」が33.7%と続いた。また、自由回答では「社長からのメッセージ発信や交流機会の設定」、「定期的なミーティング、1on1ミーティング」、「雑談」、「アセスメントツールの活用、社内イベントや広報の拡充」などがあげられた。このような定期的な交流が、社員同士の一体感を高めるのに効果的なようだ。