株式会社ジェイックは2024年9月13日、「上司との1on1に関する実態調査」の結果を発表した。調査期間は2024年8月2日~7日で、上司との1on1を実施している社会人計400名から回答を得ている。調査結果では、“1on1の満足度”と“仕事の熱意”の相関に加え、モチベーションが落ちた発言や上司の態度なども明らかとなった。
5割超が“上司との1on1”でモチベーションダウン。部下から「意味ない」、「苦痛」と思われない面談のやり方は?

「定期的な1on1の満足度」が高いほど「仕事への熱意」も高い傾向に

「1on1」は、社員の成長を促すために上司と部下がマンツーマンで定期的にミーティングをするマネジメント手法だ。単なる業務報告や上司からのレビューを行うものではなく、対話を通じて相互の信頼関係を醸成しながら部下の成長をサポートする、人材育成の機会でもある。1on1を成功させるためには、その場の「心理的安全性」が確保されていることが大前提となるが、部下側は満足感を感じているのだろうか?



同社が、「定期的な上司との1on1の満足度」と「現在の仕事への熱意」についてそれぞれ尋ねて分析したところ、「定期的な1on1に非常に満足」と回答した人のうち、67.5%が「仕事に非常に熱意がある」と回答。また、「定期的な1on1にある程度は満足」と回答した人のうち、「仕事にある程度は熱意がある」を選んだのは75.4%だった。
反対に、「定期的な1on1にあまり満足ではない」と回答した人の45.6%が「仕事にあまり熱意はない」と答え、「定期的な1on1にまったく満足ではない」とした人の55.6%が「仕事にまったく熱意はない」を選択していた。「定期的な1on1の満足度」が高いほど、「仕事への熱意」も高い傾向にあることが見て取れた。
定期的な上司との1on1の満足度と、現在の仕事への熱意の関連性

54.2%が「1on1で仕事のモチベーションが落ちた」との経験を持つ

次に、同社が「上司との1on1によって仕事に対するモチベーションが落ちた経験があるか」を尋ねたところ、「何度もある」が33.7%、「1回はある」が20.5%だった。他方で、「ない」と答えたのは45.8%と半数未満となった。
1on1とモチベーションの関連性
同社は最後に、「上司との1on1によって仕事に対するモチベーションが落ちた理由」について、フリーコメントで集まった声を抜粋して紹介している。

【上司の発言、態度について】
・否定やダメ出しばかりされた
・上司から興味ややる気を感じられなかった
・威圧的な態度やパワハラ発言があった
・自分の悩み相談が、上司の武勇伝を聞かされた
・一方的な思い込みで話をされる
・自分の興味あることしか話されなかった
・他人との比較をされた

【業務内容、仕事への理解について】
・業務の進捗に対する認識の相違がある
・上司が業務内容を理解していなかった
・業務支援を拒否された
・仕事の要求が増えた
・解決策が示されず、曖昧なロードマップが示された
・あまりに近視的で中長期的な戦略を持っていない

【自分の評価、待遇について】
・努力や頑張りを正当に評価されなかった
・思っていたよりも低い評価を受けた
・思っていることと違う視点で評価されたとき
・自分にとって達成が困難なことを求められたとき
・昇格させられるかどうかわからないと言われたとき

【コミュニケーションについて】
・上司が相談を適当にあしらった
・上司の傾聴力が低く、議論がかみ合わなかった
・こちらの意図をきちんとくみ取ってもらえなかった
・言ったことをさえぎられ、自分の意見を押し付けられた
働き手の成長意欲を引き出し、生産性向上や育成成果につなげることが本来の1on1の目的であるはずだ。しかし、1on1によって部下のモチベーションを下げてしまうという反対の結果を生むケースも多いことが、今回の調査結果からはうかがえる。実際に、フリーコメントでは1on1が有意義なものと捉えられておらず、一方的な意見の押しつけや形式的な上司の態度に残念な思いをしたという人の声も目立つ。その原因は、上司と部下の目線が合致しておらず、正しい1on1が行われていないためであると考えられる。いま一度、1on1について自社が目指す方向性やあるべき姿を社内に発信しつつ、エンゲージメントサーベイ等で実態把握をしてみてもよいかもしれない。

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