「ダイバーシティ」は日本企業の人事課題として捉えられて久しい。
ダイバーシティの定義は様々あるが、「性別、国籍、宗教をはじめ、様々な価値観を認め合う」ことで、人事の文脈では差別なく機会平等という意味合いで用いられることが多い。
ダイバーシティの次にくるのは「C」

日本企業では女性の管理職の登用数が多い少ない等の議論のまま、あまり前に進んでいな印象が強い。しかし、実はグローバル企業ではダイバーシティの捉え方が日本企業とは異なる。もしくはダイバーシティの概念が問われた時に、ある重要な一部を置き忘れてきたのではないかと感じる。
 
 ダイバーシティの忘れ物とは「Commonality(コモナリティ)」。英和辞書をひくと「共通性」とあるが、ダイバーシティとコモナリティは「and」でグローバル企業や海外では語られる。
 つまり、多様性を認め合い尊重した上で、何を「共通」にしていくことが、自社のビジネスでは意味があることなのかを考え、具現化していくのである。
ここで注意点がある。日本で言う「同じ釜の飯を喰う」とコモナリティは似て異なるものである。「同じ釜の飯を喰う」とは「同一性」を求めるものでるが、コモナリティはそれぞれの違いを認めた上で、全体最適の観点から共通化が望ましいことに絞っている。

 「同じ釜の飯を喰う」との対比でコモナリティを感覚知的に理解するには、名古屋商科大学大学院の伊藤武彦教授曰く、猫の写真(下のリンクから参照ください)がわかりやすいという。毛の色の種類も性別も年齢も異なる猫たちが同じタイミングで一つの輪になり食事をしている。異なるモノ同士が同時に同じモノを同時に食べている姿がまさにコモナリティの意味合いに通ずるとのことだ。

 グローバル企業では多様性を認めた上で、グローバル共通のルールや仕事の仕方に「合せていく」ことが求められるのは、ここに起因している。ゆえにホワイトカラーの業務をアウトソーシングする率が日本より高く、オフショア(海外)へのアウトソーシングを含め当たり前になってきている。アクセンチュアの次世代アウトソーシングのパンフレットによれば、アクセンチュアのアウトソーシングを活用した企業の平均で32.5%のコストを削減できている。人事領域でも50~60%はアウトソーシングが可能とのことだ。逆に、日本企業は上司が変わるとミーティングの仕方から意思決定のやり方まで変わってしまう状況で、同一性を強いてしまうのでダイバーシティの段階でもたついてしまっている。

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