労働者の高齢化にともない新たなガイドラインを制定
定年延長など、シニア世代の活躍推進に向けた取り組みが広がるなか、日本では「労働災害を要因とする休業」が4日以上の死傷者の割合は60歳以上の高年齢労働者に多く見られ、今後もますます増加すると考えられている。そのような状況を受け、厚生労働省はシニア世代が安心して働ける職場環境の構築が重要として、就労状況の改善を求めるこのガイドラインを示した。本ガイドラインでは、事業者に対してそれぞれの企業における高年齢の就労状況に即して、国や関係団体等による支援を活用しながら、労働基準法などの法令遵守および高齢労働者に対する実施可能な労働災害防止策への取り組みが求められた。
具体的な取り組み内容は以下の通り。
1.安全衛星管理体制の確立
経営者による安全衛生方針の決定と、高年齢労働者の身体機能の低下による労災についてのリスクアセスメントの実施
2.職場環境の改善
職場環境のバリアフリー化や高年齢労働者の特性を考慮したゆとりある作業管理体制の構築
3.健康や体力状況の把握
高齢労働者の健康状態を客観的に把握するための健康診断や健康チェックの実施
4.健康や体力状況に応じた対応
高齢労働者の健康状態に応じた業務マッチングと、高齢労働者の身体機能の維持向上の取り組みの実施
5.安全衛生教育
再雇用や再就職で未経験分野に従事する高齢労働者への丁寧な教育訓練の実施
また、高齢労働者自身に対しても、事業者の定める労災防止対策への協および健康や体力の維持管理、生活習慣の改善を通じて、積極的な健康づくりに努めることを促している。
今後、厚労省では本ガイドライン普及のために各種セミナーやコンサルティングの実施および中小事業者を対象とした補助金制度を創設し、高年齢就労者の職場環境の改善を支援していく方針だ。
労働人口の高年齢化が予想されるなか、高齢労働者が安心して安全に働ける環境整備は労働者の安全確保の面でも急務といえる。企業は今後のシニア世代の活躍推進に向けて適切に対応してほしい。