働くシニアが感じている「職場」の満足度
政府は、高齢者が希望すれば70歳まで働ける社会の実現を目指し、2020年の通常国会で「高年齢者雇用安定法改正案」を提出する動きを示している。そのような中、アデコが現在のシニア雇用の実態について調査した。まず、現在就労中の働くシニアに対し、現在の「職場」についての満足度を聞くと、「休日」、「労働時間」、「人間関係」などのすべての項目で「満足」と「どちらかといえば満足」を足した回答が「不満足」「どちらかといえば不満足」の合計数を上回る結果となった。
働くシニアが感じている「仕事」の満足度
同じく「仕事」に関する満足度を調査すると、「給与」以外のすべての項目で「満足(「どちらかといえば満足」を含む)」と回答した人が多かった。働くシニアは、現在の「職場」と「仕事」のどちらに対しても満足度が高いことがわかった。一方、労働賃金に関して満足しているのは合計45.5%で、半数以上が不満を抱いているようだ。現在の仕事に生かせているものは何か
続いて、シニアが現在の仕事に生かせているものは何かを聞くと、「これまでの仕事を通じて培った知識やスキル、ネットワーク」(61.8%)と回答した人が最多となった。一方で、「セミナーや研修・講座の受講などを通じて培った新しい知識やスキル、ネットワーク」と回答したのはわずか、11.3%のいう結果だった。8割以上の企業がシニア人材の雇用にメリットを感じている
シニアを雇用している企業側にも調査を行った。企業の人事担当者に対し、「シニア人材を雇用することにメリットを感じているか」と尋ねたところ、83.5%が「感じている」と回答した。シニア雇用に感じるメリットは「豊富な知識と経験」と「人手不足の解消」
次に、先の質問で「シニア雇用に対しメリットがある」と回答した167人に対して「どのようなメリットがあるか」と質問したところ、「業務に関する豊富な知識や経験がある」が78.4%と最も多く、次いで「人手不足を解消できる」が76.6%となった。人材定着が難航している中で即戦力の欠乏と、深刻化する人手不足の両方の解決策としてシニア雇用が有用と感じているようだ。シニア人材の雇用を見合わせている理由
一方、シニアを雇用していない企業も依然としてある。そういった企業の人事担当者に対し、理由を尋ねると、「シニア向けの仕事がない」が61.5%と最も多い理由として挙げられた。シニア雇用に積極的な企業が人手不足の解消や人材定着難航中の即戦力としてメリットを感じているのに対し、シニア雇用を行っていない企業は「シニアの雇用に際しては専用の仕事を用意する必要がある」という先入観を抱いていることがうかがえる。