「失われた30年」と言われて久しい日本。世界に通用する「イノベーション」が日本からなかなか生まれてこない。この現状を打破しすべく国や企業は、総力を挙げて臨んでいかなければならない。HR領域においても、組織づくりと密接な関係にあるため、「イノベーション」に対する関心が集まっている。そこで、まずは「イノベーション」とは何か、どのような種類があるのかなど、基本的な知識を理解しておく必要がある。本稿では企業事例や課題を含めて「イノベーション」の意味や分類、求められる背景、日本における現状や課題を深く掘り下げていきたい。
Bright idea and creative thinking

「イノベーション」とは

「イノベーション」とは、モノ、仕組み、サービス、組織、ビジネスモデルなどに革新的なテクノロジーやアイデアを取り入れることで、従来にない価値を創出し、社会に大きなインパクトをもたらす取り組みをいう。日本では「イノベーション」を「技術革新」と訳すことが多いが、「イノベーション」は「技術」だけを対象にはしていない。新たな市場や資源、組織、制度などを生み出すことも「イノベーション」の対象となってくる。

この言葉の生みの親は、オーストリアの経済学者ヨーゼフ・シュンペーターだ。彼が、1912年に出版した著書『経済発展の理論』で、「新結合(neue Kombination)」という言葉を用いてイノベーションの概念を提唱したことに端を発する。その著書の中でイノベーションは「経済活動において生産手段や資源、労働力などを従来と異なる方法で新結合すること」と定義されている。

「イノベーション」の分類と例

「イノベーション」は、大きく4つに分類されるとされている。それぞれの特徴を紹介していこう。

●構築的革新

構築的革新(Architectural innovation)は、画期的な技術を用いて従来までの体系を破壊し、新たな製品を開発・発明することで全く新しい市場を生み出すことをいう。電気・蒸気機関・飛行機・大衆向け自家用車・パーソナルコンピューターなどが、その代表例と言える。

●革命的革新

革命的革新(Revolutionary innovation)は、既存の製品に新たな技術や生産体系を組み合わせて生み出した画期的な製品をいう。例えば、自動車の駆動システムが、マニュアルからオートマチックへ移行したケースや、モバイル通信システムの4Gから5Gへの移行などが挙げられる。

●間隙創造的革新

間隙創造的革新(Niche creation)とは、既存の技術を駆使して新たな市場を開拓する「イノベーション」をいう。ニッチ創造とも称せられる。具体的には、ヘッドフォンステレオ、家庭用ゲーム機、スマートフォン、ウォークマン、iPhone・iPad・iPod、カップヌードルなどが挙げられる。

●通常的革新

通常的革新(Regular innovation)とは技術改善やプロセス改善を施し、より低価格かつ高品質な製品・サービスを創出することをいう。既存製品の性能を高め、価格競争によって対応する手法で、1980年代の日本企業ではスタンダードであった。しかし、価格競争に陥ると失敗する場合もあり得る。なので、通常的革新を続けているだけでは、企業が疲弊しやすくなってしまう。

「イノベーション」の種類

次に、「イノベーション」の種類について説明したい。これは、提唱者によってさまざま種類が提示されている。

(1)5種類のイノベーション(ヨーゼフ・シュンペーター)

「イノベーションの父」と呼ばれるヨーゼフ・シュンペーターは、「イノベーション」を以下の5種類に分類している。

・プロダクト・イノベーション

これは、創造的活動による新たな生産物の創出と言っていい。これまで世の中に存在していない品質や機能を持った「製品」、「サービス」を作り出して、消費者に新たな価値をもたらすことを指す。全く新しい技術を開発することだけを意味するのではない。既存にある技術やサービスを掛け合わせることで、革新的な製品を生み出す場合も含まれる。スマートフォンや液体洗剤などは、その代表的な事例と言える。

・プロセス・イノベーション

プロセス・イノベーションとは、新たな生産方法の導入を意味する。モノづくりにおける「生産工程」や流通経路を劇的に改善し、生産性や生産効率を大きく高めることをいう。ファブレス経営や製造ロボットの導入などが具体例となる。

・マーケット・イノベーション

既存の技術やスキルを用いて新しい市場・販路・顧客・ニーズを開拓し、売上増大や利益拡大に繋げることを意味する。フィルムメーカーが開発した基礎化粧品や日本画用絵具メーカーが開発したマニキュアなどが、代表例となる。

・サプライチェーン・イノベーション

新しい資源を獲得することを指す。具体的には、製品原材料の根本的な見直しや新たな供給ルート、配送方法、流通ルートなどを開拓することをいう。ファストフード店のモバイルオーダーやネットショップによる物流機能の強化などは、その一例だ。

・オルガニゼーション・イノベーション

これは、新たな組織づくりやビジネスモデルの創出を意味する。現状の「組織」体系やビジネスモデルを組み直し、業界や社会に大きなインパクトをもたらしていくことを指している。フランチャイズシステムの導入やトップダウン方式からボトムアップ方式への変更などは、代表的な事例と言える。

(2)創造的イノベーション/破壊的イノベーション(クレイトン・クリステンセン)

経営コンサルタントや経営学者として名高いクレイトン・クリステンセン氏は、著書『イノベーションのジレンマ』(1997年発行)において、イノベーションを以下の2つに大別している。

・持続的イノベーション

「持続的イノベーション」とは、市場での優位性・強みを堅持するために顧客の意見やニーズに合わせて、既存製品の性能向上・改良を続けるイノベーションをいう。常に改善を重ねていかなければ、他社に顧客や市場を奪われかねない。これを防ぎ、生き残るための「イノベーション」とも言い換えられる。

・破壊的イノベーション

一方、「破壊的イノベーション」とは、従来からの市場やルールに捉われず、新たな発想で業界の構造全体をも大きく変えていくことをいう。これは、新たな技術やアイデアを活かして市場自体を新たに創出する「新市場破壊」と既存のハイエンド商品を、技術やプロセスの革新によって価格破壊を起こしていく「ローエンド型破壊」に分類できる。

・イノベーションのジレンマとは

クレイトン・クリステンセン氏の代名詞とも言える概念が、「イノベーションのジレンマ」だ。これは、「イノベーション」を生み出し市場で優位に立った企業が、顧客の意見に対応しすぎた結果、破壊的イノベーションを推し進めるベンチャーや新興企業に市場シェアを奪われてしまうことを意味する。また、「イノベーション」があまりにも進んでしまい、顧客ニーズとの間に大きな隔たりができてしまうことも「イノベーションのジレンマ」と称せられている。一定規模のシェアを持つ企業が、はまりやすいと言われている。

(3)オープンイノベーション/クローズドイノベーション(ヘンリー・チェスブロウ)

米国の経営者であるヘンリー・チェスブロウ氏は、「イノベーション」を加速・進化させる概念として、「オープンイノベーション」を提唱している。

・オープンイノベーション

「オープンイノベーション」とは、自社だけでなく外部の企業や大学、研究機関などと連携し、それぞれが持つ技術やアイデアを組み合わせて技術革新を創出する「イノベーション」モデルを意味する。

・クローズドイノベーション

一方、「クローズドイノベーション」は、自社単独で研究開発から生産までを完結させる「イノベーション」モデルだ。1990年代まではこちらが主流であったが、昨今は競争が一段と激化しているだけでなく、研究開発費も高騰しているため、「イノベーション」を生み出しにくくなってきている。

「イノベーション」が求められている背景

なぜ現在、「イノベーション」に注目が集まり、求められているのか。その理由や背景を詳しく説明していこう。

●大きな経済成長

「イノベーション」に成功した企業は、莫大な経済的成果を得る傾向が大きい。そのため、企業が成長を促進し、維持していくために、新たな価値創造するイノベーションを求めることは当然だ。つまり、イノベーションを成功させ、新たな市場開拓ができれば、収益拡大と維持につながるのだ。

●企業課題の解決と生産性向上

日本に限らず、「人手不足」は企業の大きな課題となっている。人手不足の結果、長時間労働や健康経営の阻害など、社員と企業どちらにとっても良い影響は生まれない。例えば技術面でのイノベーションによって新たな生産方式を確立することで、社員の生産性向上や労働課題の解決を目指している企業は大変多い。

●企業規模にかかわらない市場独占の可能性

イノベーションによって生まれた新たな商品(製品やサービス)によって、新しい価値創出、市場開拓を可能にする。イノベーションを起こせば、競合他社がまだ参入していない市場を一時期であっても独占することが可能になる。この「市場独占」の可能性は、資本力の小さい中小企業や個人事業にも等しくあり、大企業に対抗しうる機会にもなるだろう。既存の市場では競争できなかった小規模な企業にとっても、イノベーションの成功は魅力的な取り組みなのである。

●国内外での市場競争の優位性獲得

企業にとって、市場競争における「優位性獲得」は、戦略的事業の肝ともいえるだろう。例えば、新技術の特許を取得することは企業の大きな強みになり、顧客に新たな価値を提供することにもつなげられる。さらに、既存顧客に対するメリット提供だけでなく、新規顧客獲得にも重要な要因となる。もちろんこれは国内に限らず国外に対しても有効で、グローバルな優位性獲得も視野に入れられるだろう。

●日本市場の縮小とニーズの多様化

少子高齢化による人口減少で国内市場が縮小する中で、消費者ニーズは多様化・個別化が進んでいる。そのため、従来の製品やサービスだけでは生き残れない。企業が持続的に成長していくためには、新たな価値創造や市場開拓を実現するイノベーションが不可欠となっているのである。

日本における「イノベーション」の現状

続いて、日本企業における「イノベーション」の現状について説明しよう。

●日本企業における「イノベーション」の現状

日本企業も「イノベーション」の創出に向けて、賢明な努力を続けている。戦後の日本は、新幹線やインスタントラーメン、トヨタ生産方式など、世界を席巻するさまざまな発明を続け、今でも人々の生活を支える製品やサービスを生み出してきた。ところが、現在はその余地が少なくなり、新たなイノベーションの創出に苦しんでいる。グローバルという視点でみると、十分な成果を導いているとは言いにくい。

事実、NEDO(国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構)とJOIC(オープンイノベーション・ベンチャー創造協議会)が発表した『オープンイノベーション白書 第三版』によると、国単位でのイノベーション創出力を評価する指標「Global Innovation Index: GII」での日本の順位は2011年以降、トップ10圏外が続いている。

その原因として、いくつかが挙げられる。特に、中長期視点での投資割合の低さ、失敗を許容しない文化、仕事や業務の効率の悪さ、人材不足などはよく耳にする。この状況を打破するには、大企業とスタートアップ企業との積極的な連携やデジタル技術の活用促進、そして組織文化の抜本的な改革が不可欠と言える。特に、失敗を学びの機会として捉える文化の醸成や、多様な人材が活躍できる柔軟な組織づくりが重要となっている。
Global Innovation Index: GII」での日本の順位推移

引用:NEDO「オープンイノベーション白書 第三版」

●日本の「イノベーション」支援政策

日本政府も手をこまねいているだけではない。イノベーション関連の支援政策を推進している。例えば、「第6期 科学技術・イノベーション基本計画」においては、①イノベーションの強化、②研究力の強化、③教育・人材育成を3本柱とし、2021年から25年までの5年間で総額約30兆円を研究開発に投資するとしている。

具体的には、イノベーション力の強化では、社会のデジタル化、カーボンニュートラルの実現、レジリエントで安全・安心な社会の構築。研究力の強化では、大学改革、10億円規模の大学ファンド、博士課程学生や若手・女性研究者の支援強化。教育・人材教育では初等中等教育段階からのSTEAM教育やGIGAスクール構想の推進、リカレント教育を促進する環境・文化の醸成などが網羅されている。

「イノベーション」を起こすための3つの企業課題

グローバル化が進み、新興企業の台頭や技術革新など、これまで日本企業が保っていた「競争優位性」が失われつつあるといわれて久しい。近年、新たな市場開拓を成功させたイノベーション事例は確かに少ないのが実情だ。日本が誇る技術力はいまだに高い評価を得ているというのにイノベーションが生まれないのは、日本企業に独特の課題があるからではないかといわれている。それでは、日本企業がイノベーションを起こし、成果を上げるための「課題」とはどのようなものだろうか。

●継続可能なイノベーション維持ができていない

技術革新や市場環境の急速な変化に対応するためには、「一度イノベーションを起こせたらもう安泰だ」という思考ではいけない。企業の成長維持のためには、「継続的なイノベーション」と「新規顧客と市場の開拓」を常に続けていく必要がある。日本企業は、既存の製品・サービスを高機能化させる方向での持続的イノベーションをやめられない傾向が強いが、既存商品のグレードアップでは、日々新たなものが生み出される現状には対応できず、だんだんと競争力が下がってしまうのだ。これも、日本企業が抱えるイノベーションに対する課題のひとつである。自社商品がもついわば「寿命」をきちんと認識し、適切なイノベーションを実施することが必要だ。

●「イノベーション・マネジメント」導入が遅れている

イノベーションに関する企業の意思決定は、何よりも「スピード」が大切だ。アイデアやビジネスモデルの創造、そして事業化するまでのプロセスを迅速にしなければならない。つまり、既存事業を持続させようという考えでは、イノベーションが起こりにくいのだ。そこで、イノベーションをいち早く起こすことに特化した「イノベーション・マネジメント」の迅速な導入、労働環境を変化させることが重要になる。

●社内制約と企業ローカル文化による消極的な姿勢

「成果主義」を標榜する企業が増えつつあるが、日本企業にはまだまだ旧態依然とした前提による人事評価制度が習慣として残っているといえる。失敗を恐れて、積極的なチャレンジよりも会社方針に従順にすごすことも旨とする社員も増えているようだ。また、コロナ禍で顕在化したように、規模の大小にかかわらず、社会情勢や市場の変化によってたやすく経営悪化に陥るので、「寄らば大樹の陰」という気持ちは強まり、必要な衝突であっても避けてしまう傾向がある。イノベーションの阻害要因として、これらの閉鎖的な企業ローカル文化や足並みをそろえたがる社員のマインド、企業制約が指摘されている。

「イノベーション」を起こしやすい企業の特徴

積極的に市場開拓に臨み、閉鎖的なローカルルールを排除できる企業が「イノベーションを起こせる企業」だとわかった。それでは、実際にイノベーションに成功している企業に共通する「特徴」をあげてみよう。

●自社の存在意義と価値を理解している

イノベーションを起こせる企業は、自社の強みや社会に対する存在意義が明確である。イノベーションはゼロから生み出せるものではなく、既存の資源を新しい形で組み合わせることで生まれる。そのためには、自社が持つ技術や知見、市場での位置づけを正確に把握し、将来のビジョンを明確に定義することが重要となる。企業の将来ビジョンの実現に向けて、あらゆる側面から革新的な取り組みを体系的に推進することで、持続的な成長が可能となる。まずは自社の現状とこれから成し遂げたい目標を定義し、その実現に向けた具体的な戦略を立てることが、イノベーション成功の第一歩となる。

●市場変化と時代の流れに対し、常に敏感なアンテナを張っている

誰も思いつかないようなアイデアや、卓抜した経営センスによる閃きだけがイノベーションを生むと思われがちだ。しかし、前述の通り、イノベーションには、自社が長く培ってきた技術を向上させることで起こる「創造的(持続型)イノベーション」や、他社や外部との提携によってまったく新しい価値を創造する「オープンイノベーション」などもある。そして、「破壊的イノベーション」を起こすことができれば、短期間であったとしても、市場独占によって大きな利益を上げる可能性もある。市場の変化や潮流に敏感であること、常に模索を続けることが非常に大切だ。

●リスクに対する正確な理解があり、適切なアクションがとれる

イノベーションは、「不確実性」と「リスク」が常に隣り合わせだといえる。特に「リスク」は企業の既存事業にも大きな影響を与える可能性があり、企業経営者は判断に慎重になる。しかし、経営陣や管理職がリスクに関して大きな誤解をしている場合がある。イノベーションを起こすには経営資源の先行投資は不可欠だ。財務状況を分析し、不確実性やリスクが高い場合は「何もしない」という選択肢を選びがちだ。しかし、これでは市場にイノベーションが起きた際には他社に出遅れ、売上・利益は獲得できない。さらには、既存事業からも撤退せざるを得なくなるかもしれない。経営層による「リスクの正確な理解」と、「適切なアクション」は、企業がイノベーションを起こす第一歩だ。

●社内外でのコミュニケーション環境が整っている

「イノベーションを起こしやすい労働環境」というものがある。そのような環境構築のためには、企業側がイノベーション人材をきちんと支援する体制をとることが非常に大切だ。特に、「コミュニケーション環境」を整備することが最も重要な必要条件となる。潜在的な顧客ニーズを検知し、実現するための技術革新ができた時、イノベーションが生まれるという。そのため、イノベーションを担う人材には、積極的に顧客と会話する自由や、テストマーケティングが行なえるような「コミュニケーション環境」が必要だ。また、社外とのコミュニケーションだけでなく、社内でも他事業部間でコミュニケーションを活発に行わせることも、イノベーションを成功させる道である。

●多様な人材が活躍している

同じような経歴や思考を持つ人材ばかりが集まると、意見は収束しやすいものの、新しい視点やアイデアが生まれにくくなる。経歴、能力、思考がバラバラな人材が組織にいることで、物事を多角的に捉えることが可能となり、革新的なアイデアの創出につながる。また、ダイバーシティ経営への取り組みは、これまでにない視点や新たな知見を取り入れる機会となる。さらに、多様な人材が活躍できる組織では、失敗を恐れずチャレンジできる文化が醸成され、新しいアイデアや技術が自然と生まれやすい環境が整う。

「イノベーション」成功の企業事例

●P&Gジャパン

1973年の創業から50年以上になるP&Gジャパンは、これまでの歩みを「日本の暮らしとともに革新を続けた50年」と称している。育児事情を変えた紙おむつ「パンパース」や、スプレー型の消臭リフレッシャー「ファブリーズ」など革新的な製品を生み出した。特に2014年に誕生した、粉末でも液体でもなく、同社の独自開発による新素材フィルムで包まれた洗剤「ジェルボール」は指でつまんで洗濯機に投げ込むだけの画期的な商品で、計量不要の“ワンショットタイプ洗剤”という新たなジャンルの先駆者となった。

●キリンビバレッジ

キリンビバレッジは、清涼飲料の製造・販売だけでなく、実は法人向けに健康経営を支援する「KIRIN naturals」というサービスも提供している。「KIRIN naturals」とは、健康支援商品の販売だけでなく、従業員の健康を維持するための施策立案から効果検証まで、健康経営を総合的に支援するサービスだ。具体的には動画配信サービス、eラーニングやセミナー、サーベイ、コンサルティングまで幅広い。同社の本業である清涼飲料に関するリサーチ力やデータ分析ノウハウが活用された新たなビジネスモデルと言える。

●マクアケ

マクアケは、オンラインマーケットプレイス「Makuake」を運営している。この「Makuake」は、新しいモノを提供する事業者と、作り手や担い手に共感し、それを応援するサポーター(購入者)をつなぐ「応援購入サービス」が特徴。商品を作ってから販売するのではなく、作る前に販売する逆転的な商流により、新しいモノが次々に生まれる仕組み「0次流通産業」を創出した。2021年からは海外展開支援のためのプログラムも開始し、グローバルに広がる新しい商流を日本初で生み出している。また同サービスは、サービス産業生産性協議会(SPRING)が主催する日本サービス大賞の経済産業大臣賞を受賞した。

まとめ

グローバルで展開されている激しいビジネス競争に打ち勝っていかないと、もはや企業が存在する道はないと言っていい。新たな価値を創出するためにも、「イノベーション」を実現できる組織、人材を作り上げていく必要がある。といっても、何が何でも自社だけでという発想を持つ必要はない。他社や大学、研究機関などと組むことで、コストやリスクを削減できるだけなく、開発スピードも早められる。日本企業も自前主義、単独主義と決別し、柔軟に「オープンイノベーション」に取り組んでいってもらいたいものだ。躊躇している余裕はないと言っていいだろう。

よくある質問

●「イノベーション」の言い換えは?

「イノベーション」(innovation)は日本語で「革新」、「改革」、「改変」などと訳される。言い換えの例としては、以下があがる。

・革新
・改革
・改変
・一新
・刷新

●ビジネスにおける「イノベーション」とは?

ビジネスにおける「イノベーション」とは、「これまでにないサービスや、今はまだ存在していない新たな製品などを生み出すこと」。技術に限定する狭義の単語ではなく、サービスや組織、ビジネスモデルなどの新たな考え方や新技術によって、今までにない、まったく新しい価値創造を目指すことだ。単に新しい物を作る「クリエイト(クリエイティブ)」とは異なり、「社会に対して革新・刷新・変革をもたらす」という広い概念である。

●「イノベーション」を起こすには?

「イノベーション」を起こすには、「継続可能なイノベーション維持ができていない」、「「イノベーション・マネジメント」導入が遅れている」、「社内制約と企業ローカル文化による消極的な姿勢」といった企業課題を解決することが必要だ。「イノベーション」を起こせる企業は、「自社の存在意義と価値を理解している」、「市場変化と時代の流れ対し、常に敏感なアンテナを張っている」、「リスクに対する正確な理解があり、適切なアクションがとれる」、「社内外でのコミュニケーション環境が整っている」、「多様な人材が活躍している」などの特徴がある。

●「イノベーション」と「リノベーション」の違いは何?

「イノベーション」は、新しいアイデアや技術から全く新しい価値を創造し、社会に大きな変革をもたらす「改革」を意味する。一方で「リノベーション」は既存の骨組みや基盤を残しながら、用途や機能を刷新して価値を高める「更新」を指す。
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