「自己効力感」とは、心理学者のアルバート・バンデューラが提唱した概念で「難しい問題があっても、なんとかできる」という自信のようなものだ。この自己効力感が低下すると、1on1でも心を開いてくれない(ホンネを隠す)、言われたことしかやらない、挑戦する前から失敗を恐れるといった行動が顕著になるという。著者らは、現代の職場で良くあるこういった悩みの根底には「不安感」や「自己効力感の低下」があると説く。

また、本書では、多くの人が誤解しがちな「心理的安全性」の本質を改めて捉え直すことの重要性について言及する。その上で「真の意味でチームの成長と生産性向上につながるマネジメントとは何か」に迫っていく。実践的手法として、部下が主体的に活き活きと動き出すための『5つのメソッド』が紹介されており、「部下の育つ力を育てる」というマネジメントの極意を学びたい方にとっては、必読の一冊だろう。

【こんな人にオススメ】
●企業の人事担当者: 部下の不安や不満、無関心に対する新しいマネジメント手法を学びたい方
●経営者や管理職: 組織の生産性を向上させ、メンバーのエンゲージメントを高めたいと考えているリーダー
●組織開発に関心のあるビジネスパーソン: 自己成長と組織の発展を両立させるための具体的な方法を探している方

【書籍基本情報】
書籍名:なぜ部下は不安で不満で無関心なのか メンバーの「育つ力」を育てるマネジメント
発売出版社:日本経済新聞出版
書籍発売日:2024年11月18日
『なぜ部下は不安で不満で無関心なのか メンバーの「育つ力」を育てるマネジメント』 片岡裕司,山中健司(著)(日本経済新聞出版)

▼内容紹介

【マネジャーの育成の悩みを解決! 「やってよかった!」の声、続々】


部下の仕事ぶりがもどかしい方、マネジメントが悩ましい方。
それは、あなたが悪いのではありません。
「新しいマネジメントの方法論」をまだ知らないだけです。

本書では、部下が主体的に考え・イキイキ動き出す5つのメソッドを解説。
実践することで、マネジメントがいつの間にか楽しくなる内容が満載です。

具体的には、心理的安全性の誤解や自己効力感の重要性に触れつつ、以下のような具体的なアプローチを紹介します。
1.目的を育む: 単なる目標設定ではなく、キャリアの目的を共有することで心理的安全性を築く。
2.持ち味を活かす: 強みではなく、本物の自己理解を促し、自己肯定感を育む。
3.内面化動機の引き出し: 挑戦する勇気を引き出すために、内面化動機に焦点を当てる。
4.成長思考の育成: 成功思考ではなく、壁を乗り越えるための自己効力感を育む。
5.可能性の広げ方: 明確な目標設定よりも、多様な視点からキャリアの可能性を広げる。

さらに、第7章ではコーチングと臨床心理学の視点から「困ったメンバー」との向き合い方についても詳しく解説。

“上司であること”が何よりも難しい今、新しいマネジメントの方法論を提案するのが本書です。
15年超のキャリアを有する実力派コンサルタント2名が、事例を交えた解決策をお届けします。
(出版社ホームページより/HRプロ編)

▼目次

序章:部下の「不安・不満・無関心」の背景にあるもの
第1章:メンバーの「育つ力」を育てるとは
第2章:[心の安全基地]「キャリアの目的」を共有することで心理的安全性を築く
第3章:[本物の自己理解]「持ち味」を発見して、自己肯定感を育む
第4章:[挑戦する勇気]「内面化動機」で「やる気」を引き出す
第5章:[折れない気持ち]壁を乗り越えるための自己効力感を育む
第6章:[さらなる成長]キャリアの可能性を広げて、メンバーを成長軌道に乗せる
第7章:「困ったメンバー」との向き合い方

▼著者プロフィール

【片岡 裕司(かたおか ゆうじ) 】
株式会社ジェイフィール 代表取締役コンサルタント/多摩大学大学院客員教授/日本女子大学非常勤講師/一般社団法人Future Center Alliance Japan 理事
アサヒビール株式会社、同社関連会社でのコンサルティング経験を経て独立。株式会社ジェイフィール立ち上げに参画し現在に至る。組織変革プロジェクトや研修講師を担当。著書に『なんとかしたい!「ベテラン社員」がイキイキ動き出すマネジメント』、共著に『週イチ・30分の習慣でよみがえる職場』(いずれも日本経済新聞出版)などがある。

【山中 健司(やまなか けんじ) 】
株式会社ジェイフィール コンサルタント
アサヒビール株式会社、同社関連会社のコンサルティング部門を経てジェイフィール社に参画。組織風土改革の企画・運営やワークショップのファシリテーション、マネジメント層向けの研修講師など、数多くのプロジェクトを担当。組織風土改革では「一人ひとりの可能性を引き出す組織づくり」の支援を中心に取り組んでいる。他、共育型OJTをはじめとするプログラム開発や映像ツールの開発等も担当。多摩大学大学院博士課程前期修了(MBA)。
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