近年、人事パーソンがよく耳にする言葉に「パーパス」がある。ビジネスシーンでは、企業の社会的な存在価値や存在意義を意味するとされている。ただ、従業員によっては言葉の大きさゆえ、捉えづらかったり、自分事化しづらかったりするだろう。「マイパーパス」という取り組みのもと、その課題に挑んでいるのが三菱電機株式会社だ。従業員一人ひとりが日頃から大切にしていること、ありたい姿となる「マイパーパス」を起点に、企業理念やパーパスと向き合う取り組みを進めている。2024年度からは単体ではなく、国内外含めたグループ会社の従業員約15万人に対象者を拡大させ、プロジェクトが加速している。今回、本取り組みを先導する同社執行役員 宣伝部長の阿部敬人氏に、「マイパーパス活動」の具体的な内容や従業員への浸透の工夫、組織や従業員への効果などをお伺いした。
なぜ宣伝部がパーパス浸透を先導したか――三菱電機が挑む従業員15万人を対象とした「マイパーパス活動」

次の100周年に向けて、「マイパーパス活動」を宣伝部発でスタート

――まずは、貴社が取り組まれている「マイパーパス活動」の内容について教えていただけますでしょうか。

「マイパーパス活動」とは、従業員一人ひとりが自分の「パーパス」について考え、企業と自己の「パーパス」との重なり、結びつきを見直し、働く仲間と共有しながら社内コミュニケーションを活性化し、組織風土変革を加速させていく取り組みです。
なぜ宣伝部がパーパス浸透を先導したか――三菱電機が挑む従業員15万人を対象とした「マイパーパス活動」
なぜ宣伝部がパーパス浸透を先導したか――三菱電機が挑む従業員15万人を対象とした「マイパーパス活動」
具体的には、2023年2月から当社の社長、執行役、上席執行役員らが率先して「マイパーパス」を表明し、その様子を撮影した動画を当社の社内向けサイトに公開するという「縦のコミュニケーション」を展開しました。その後も、部門長や場所長などを含め128名もの幹部が「マイパーパス」を順次表明し、その動画も全従業員が視聴できるようになっています。

並行して、「横のコミュニケーション」も展開しました。まずは、2023年2月にマイパーパスに関する情報が閲覧できる社内向けサイトを開設。それを見ることで、従業員がパーパスについて紐解けるようにしました。また、三菱電機グループの価値観や理念を伝えながら、仕事とは何か、働くとは何かを考えるきっかけとなるオリジナルの絵本(カルチャーブック)を全従業員に配布しました。その活動を踏まえて、2023年10月からは「パーパス」をテーマとしたTVCM「Our Purpose篇」の放映を開始。それに加えて、従業員一人ひとりが「マイパーパス」を考え、それに込めた想いをチームで議論する場も設けました。


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