今回、ワークショップの講師を担当されたMSCの宮古氏が、中外製薬 矢野氏、ジャパンハート 神白氏に対してインタビューを実施。ワークショップ実施に至った経緯や、実施したワークショップに対する感想や成果、そして今後の期待について聞きました。(以下敬称略)
※神白氏はカンボジアからオンラインでインタビューにご参加いただきました。
取材対象者
矢野 勝也氏
中外製薬入社後、大阪支店に配属。大阪南部地区担当MR、大学担当MR、本社オンコロジー専門MRとして国内での経験を積んだ後、Roche Canada、Roche Basel、Genentech でe‐Marketing を中心に従事。帰国後もe‐Marketing関連業務に携わり、その後、Global Business Leader、Global Healthを担当し現職に至る。常に、その現場における患者さん中心の医療とは何か、チームの一員として何ができるかを考え仕事に従事している。
中外製薬株式会社 ESG推進部 社会貢献グループ Global Health担当
神白 麻衣子氏
1999年千葉大学医学部を卒業後、沖縄県で地域医療に従事しながら、ジャパンハートのボランティア医師としてミャンマー・カンボジアの活動に参加。2010年より長崎大学病院に在籍中も、ジャパンハート理事として海外医療支援活動に尽力。2016年5月同団体がカンボジアに設立した病院「ジャパンハートこども医療センター」で長期ボランティア医師として活動した後、現在は同病院の院長を務める。
(認定)特定非営利活動法人 ジャパンハート理事/副理事長/ジャパンハートこども医療センター院長
宮古 幸代氏
慶應義塾大学文学部を卒業後、大手運輸会社、人材派遣会社、生命保険会社、独立系FP事務所に勤務。営業から事業承継コンサルティング、ベンチャー企業の立ち上げまで、幅広い業務を経験。その過程で、人材育成や組織課題の解決に強い関心を抱き、MSCへの入社を決意。現在は能力開発を目的としたアセスメントや多岐にわたるトレーニングの企画・運営に携わっている。常に社員のモチベーション向上と実践的なコース運営をモットーに活動している。
株式会社マネジメントサービスセンター コンサルタント統括本部 チーフコンサルタント
チームビルディングの観点から、NGO団体の活動を支援
宮古:中外製薬さんは、ジャパンハートさんへのチーム医療の支援活動をしていらっしゃり、私たちMSCもワークショップのお手伝いをさせていただいています。まず矢野さんに伺いたいのですが、ジャパンハートさんへの支援を人財育成・能力開発の領域で推進することになった背景をお聞かせください。矢野:私たち中外製薬では、チーム医療を日本で手掛けています。これは、医療従事者同士がチームとして円滑なコミュニケーションを進め、質の高い医療を実現させるというものです。ジャパンハートさんへの支援の方法を考える際、寄付という形もあったのですが、コミュニケーションに関する課題があれば、私たちのチーム医療のノウハウを活かした貢献ができるのではないかと考えました。
実際にジャパンハートさんとお話をしてみると、確かにそういったニーズがあるということでした。そこで、人財育成やリーダーシップ研修に強みを持つMSCさんにも協力いただいて、ご支援がスタートしたのです。
神白:通常、私たちNGOに対する支援は、経済的な支援や、商品・医療用品といった資材の提供がほとんどです。しかし、中外製薬さんはチーム医療の側面から支援ができないかというご提案で驚きました。そういったご提案を頂くことが初めてだったからです。
しかし実際、手探りで運営をしている中で、カンボジア人と日本人という言語や文化が異なる人同士が働いていますから、コミュニケーションエラーは頻発していました。そこで中外製薬さんからのご提案が解決の糸口になるのであれば、お願いしてみようという決断になったのです。
コロナ禍でもオンラインでの研修を継続。しかし、新たな課題も
宮古:ジャパンハートさんに対するチーム医療の研修は2020年にスタートし、これまで計4回実施しています。当初弊社としては、グローバル共通のリーダーシップ開発コンテンツをベースとして、コミュニケーションを中心とした集合研修を英語で提供しましたが、1回目の印象はいかがでしたか?矢野:まずMSCさんと研修プログラムを組み立てる際、ジャパンハートさんのニーズやカンボジアの医療現場に沿う内容に調整することが、初めての試みということもあり少し難しかったです。また、日本語、英語、カンボジア語(クメール語)といった言語の違いから、どのように解釈されるのか不安もありました。
神白:当初は、1日目が日本人向けに日本語での実施、2日目はカンボジア人向けに日本語で実施してカンボジア人によるクメール語への同時通訳が入っていました。それまではカンボジア人のリーダー層同士でディスカッションする場がほとんどなかったため、コミュニケーションを取ること自体に意味があると感じました。
宮古:その後コロナ禍となり、2回目と3回目はリモートでの提供となりました。継続するうえでどのようなことを意識されましたか?
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