二つ目のアジェンダは、我々が2018年から毎年行っている「エンプロイーエクスペリエンスサーベイ調査結果」についてです。昨年の年末年始に行った調査結果を基に、日本企業の取り組み状況、EXをエンゲージメントに繋げていくためのキーは何なのかというお話をさせていただきます。
最後のアジェンダは、「エンプロイーエクスペリエンスを高めるためのアプローチ」です。実際にエンゲージメントやEXを高めていくために必要なことについて、ご説明させていただきます。
「エンプロイーエクスペリエンス」を取り巻く概況
まず、EXの定義は「従業員が企業組織の中で業務や人間関係、成長機会を通じて得る経験」としています。このEX向上が注目を集めている要因は何なのか。以下4点に整理しています。1点目は、「人材の流動性の高まり」です。転職が当たり前になり、労働人口も減少して人手不足が続いています。こうした中で、これまで以上に従業員をいかに獲得し引き止めていくかが重要なポイントになっています。
2点目は、「人材の多様化」。属性の多様化はもちろん、価値観の多様化が重要と考えています。以前は属性が同じであれば働くことに対して求める価値観はほぼ共通していたと思いますが、今は同じ属性の人たちの価値観も様々です。そういった中で、今までのような一律の人事管理を続けると、そこにはまらない人が出てくる。そうすると、優秀な人材の獲得や引き止めのハードルが上がってしまいます。したがって、「個」へのアプローチが大きなポイントになるということです。
それをどういった手段でやっていくのかが3点目のテクノロジーの活用です。10~20年ぐらい前から人材マネジメントを個別化していく必要性が問われていましたが、一人ひとりの価値観や状況に応じてメッセージを変えていくことに労力を要し、実現が難しかったと思います。今ではテクノロジーの進化によって従業員個々の状況に合わせた体験の提供が可能になっています。
4点目は、顧客体験(CX)を高めていくために、顧客に接する人たちのEXが高くないといけないということです。顧客に聞くと、従業員が生き生きと働いている販売現場の方が顧客としても良い体験ができると言います。また、CXとEXの両方に投資を行う会社は、自社のサービスや製品に対してプレミアム価格を上乗せし収益拡大できると言われています。
では、EXはどういった領域で何をやらないといけないのか。これを整理したのが下の図です。我々は、EX構造を網羅的に検討していくために6つの領域を整理しています。
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