ProFuture代表の寺澤です。
今年も昨年に続き、大卒初任給引き上げのニュースが出始めました。第一生命保険ホールディングスでは、転居を伴う転勤がある大卒の内勤職の場合、現在の27万6000円から約16%引き上げて、2024年4月入社の新卒社員の初任給は32万1000円になるとのことです。2020年4月以来、4年ぶりの引き上げとのことですが、32万1000円には基本給の他、一定時間の残業代に相当する勤務手当等が含まれるようですが、基本給と手当の内訳については公表されていません。
第155回 【25卒採用動向】インターンシップを採用に活用する企業が急増。実施形式やAI活用の傾向とは
他の生命保険各社も引き上げを明らかにしており、それぞれ一定時間の残業代を含めて、日本生命保険が30万1000円(基本給24万1000円、3万円増)、住友生命保険が28万5000円(基本給23万5000円、2万5000円増)、明治安田生命保険が29万4820円(基本給は公開なし)などとなっており、国内大手の金融機関の初任給が30万円前後となる時代が訪れています。

大手金融機関は、他業種や他規模の金融機関と比べて入社後の昇給幅の高さはかつてから指摘されていましたが、これまで初任給については他社とあまり差をつけない運用がされてきていました。今回の初任給引き上げの動きから、近年の人材獲得競争をはじめ、それだけ各社を取り巻く環境変化の大きさがうかがえます。

ただし、表面的な初任給の大幅引き上げで大喜びの就活学生に対しては、賞与の算定はあくまでも基本給部分だけで、手当部分は含まれないことをしっかり説明してあげてほしいものです。

1day仕事体験が主流の中堅・中小企業

さて、今回は、前回に引き続きHR総研が実施した「2024年&2025年新卒採用動向調査」(2023年11月29日~12月8日)の結果をお届けします。ぜひご参考にしてください。

前回は、2025年卒採用向けに既に実施した対面形式のインターンシップについて取り上げましたので、今回はオンライン形式のインターンシップに関するデータから見ていきましょう。

まずは、オンライン形式のインターンシップ・仕事体験(以下、インターンシップ)の日数タイプですが、従業員規模別に見てみると、1001名以上の大企業では「半日程度」が33%で最多ではあるものの、「1日程度」、「2~3日程度」、「1週間程度」がいずれも26%となっており、「半日程度」が突出して多いわけではなく、さまざまな日数タイプのインターンシップが実施されていることが分かります[図表1]。これに対して、301~1000名の中堅企業では「半日程度」が67%、300名以下の中小企業では71%と7割を超えるなど、他の日数タイプを大きく引き離しています。また、大企業では26%あった「1週間程度」は、中堅企業、中小企業ともにゼロです。中堅企業・中小企業では、セミナーや会社説明会に近い内容がインターンシップとして展開されていることをうかがわせる結果となっています。

その一方で、中小企業では「3週間~1カ月程度」のインターンシップを実施した割合が、大企業の4%を大きく上回る14%に達しているのが注目されます。プログラム内容に興味が湧きますね。
図表1 オンライン形式のインターンシップの日数タイプ
次に、オンライン形式のインターンシップで実施された内容タイプを見てみましょう。大企業では、「ケースワーク/グループワーク」が81%と大半の企業で導入されているのに対して、中堅企業、中小企業ではそれぞれ44%、43%と半数を下回ります[図表2]。逆に、大企業では59%の「業界・事業紹介」については、中小企業で71%、中堅企業に至っては94%と、ほとんどの企業において実施されています。

大企業では、対面形式だけでなくオンライン形式でも44%が実施しているとしている「実務体験(全員同じ)」が、中堅企業では6%、中小企業に至ってはゼロとなっています。前述した日数タイプで「半日程度」が突出しており、セミナーや会社説明会に近い内容が展開されているのではと記しましたが、それを裏付けるデータと言えるでしょう。
図表2 オンライン形式のインターンシップの内容タイプ
そのほか、「社員との交流」が大企業では22%にとどまるのに対して、中小企業43%、中堅企業では67%と7割近くにまで達するのも大きな違いです。

インターンシップを採用選考に活用する大企業が急増

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