サッカーをはじめとするスポーツ分野の現場は、常に結果が求められている。その過程で見られる“組織運営”や“コーチング”などは、「人材育成」や「マネジメント」、「組織開発」を進めていくうえで、人事パーソンにとっても大いに役立つヒントとなるだろう。Vol.4の今回は、千葉ロッテマリーンズの経営企画室長や日本バスケットボール協会のアドバイザーなどの経歴を持ち、スポーツ分野の知見が深い株式会社ターンアラウンド研究所 主席研究員 小寺 昇二氏がファシリテーター務め、インタビュー編(※下記リンク参照)に引き続き京都サンガF.C. ヘッドコーチ(取材当時)長澤 徹氏と若手の育て方をテーマに語り合った対談の模様を2回に渡ってお届けする。

【※関連リンク】
スポーツの現場から学ぶ「人材育成」と「マネジメント」Vol.1――京都サンガF.C. ヘッドコーチ長澤氏に聞く相手の目線に立ったコーチングとは
スポーツの現場から学ぶ「人材育成」と「マネジメント」Vol.2――京都サンガF.C. ヘッドコーチ長澤氏に聞く組織力を向上させるコーチングとは
スポーツの現場から学ぶ「人材育成」と「マネジメント」Vol.3――京都サンガF.C. ヘッドコーチ長澤氏に聞く若手のコーチングとは

プロフィール

  • 長澤 徹 氏

    長澤 徹 氏

    京都サンガF.C. ヘッドコーチ(所属、プロフィールは取材当時のもの)

    清水東高校、筑波大学を経て、ヤマハ発動機サッカー部に入団。ジュビロ磐田、ジャパンフットボールリーグの本田技研を経て引退。本田技研のコーチ、FC東京でトップチームコーチ、FC東京U-15深川監督、トップチームヘッドコーチなどを歴任。ジュビロ磐田、ファジアーノ岡山のコーチを経て、2015年にファジアーノ岡山の監督に就任。その後、2019年よりFC東京に復帰し、トップチームのコーチ兼U-23監督。その後、2021年、京都サンガF.C.のヘッドコーチに就任。



  • 小寺 昇二 氏

    小寺 昇二 氏

    株式会社ターンアラウンド研究所 共同代表、主席研究員/公益社団法人日本アナリスト協会認定アナリスト 国際公認投資アナリスト

    1955年生まれ、都立西高校、東京大学経済学部を経て、1979年第一生命入社。企業分析、ファンドマネジャー、為替チーフディーラー、マーケットエコノミスト、金融/保険商品開発、運用資産全体のリストラクチャリング、営業体制革新、年金営業などを経験。2000年ドイチェ・アセットマネジメントを皮切りに、事業再生ファンド、CSRコンサルティング会社(SRI担当執行役員)、千葉ロッテマリーンズ(経営企画室長として球団改革実行)、ITベンチャー(取締役CFO)、外資系金融評価会社(アカウントエグゼクティブ)、IT系金融ベンチャー(執行役員)、旅行会社(JTB)と転職を重ね、様々な業務を経験し、2015年より埼玉工業大学教授、現在、埼玉工業大学非常勤講師。この間、多摩大学社会人大学院客員准教授、日本バスケットボール協会アドバイザー、横河武蔵野スポーツクラブ(兼務)。現在(公社)日本証券アナリスト協会認定アナリスト、国際公認アナリスト。著作に「実践スポーツビジネスマネジメント~劇的に収益性を高めるターンアラウンドモデル~(2009年、日本経済新聞出版)、「徹底研究!!GAFA」(2018年 洋泉社MOOK 共著)など。

スポーツの現場から学ぶ「人材育成」と「マネジメント」Vol.4――京都サンガF.C. ヘッドコーチ長澤氏と語る“若手の育て方”

人材育成において262の法則をどう捉えるか

小寺氏:自分の頭で考え、自分で知識を腹に落とし、そして学び続ける。これらが人材育成のカギであるとインタビュー(※下記リンク参照)で長澤さんはおっしゃっていました。私も同じ意見ですが、組織には二八の法則、あるいは262の法則というのもあり、全員に強いるのも難しいように思います。この点、長澤さんはどう思いますか。


【※関連リンク】
スポーツの現場から学ぶ「人材育成」と「マネジメント」Vol.1――京都サンガF.C. ヘッドコーチ長澤氏に聞く相手の目線に立ったコーチングとは
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スポーツの現場から学ぶ「人材育成」と「マネジメント」Vol.3――京都サンガF.C. ヘッドコーチ長澤氏に聞く若手のコーチングとは


長澤氏:確かに262の法則に関しては、自分もその通りだと思っています。262となる理由は、メンタリティーであり、環境から受ける影響ではないでしょうか。ある意味これは人間の性だと思います。262はスポーツのチームでも存在し、どうやってもそれを解消することはできません。メンバーを入れ替えたとしても、組織全体では同じ現象、つまり262が起きてしまいます。

人材の育成という意味ではこうした人間の性を越えて、組織全体でのパフォーマンスを下げないことが大切だと思います。たとえ262だとしても向上心に溢れた組織の中と足りない組織の中では違います。個人的にはもしかしたら、僕がやっていることはこの法則に関して挑戦しているのかもしれません。

指導者という部分で俯瞰したときに法則自体を消し去ることはできないと思いますが、6の部分への指導も、リスクを取りながら少しでも精鋭部隊へと移行できないかと試行錯誤しています。確かに法則は存在しますが、その中でも組織の質をどうあげていくかということが、我々に与えられた課題なのかなと思っています。
スポーツの現場から学ぶ「人材育成」と「マネジメント」Vol.4――京都サンガF.C. ヘッドコーチ長澤氏と語る“若手の育て方”

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