近年、事業環境がダイナミックに変わりゆく中、企業にとって持続的な価値向上が急務の課題となっている。人事の役割についても「守り」から「攻め」への転換は待ったなしの状況だ。人的資本開示も2023年に元年を迎えた。今後は、人的資本経営の実現に向けた取り組みを社内外に公表し、理解を得ていかなければならない。では、ステークホルダーの心を動かすために、いかに実践していけば良いのか。一橋大学の伊藤邦雄教授、パナソニックの加藤直浩CHRO、リンクアンドモチベーショングループの小笹芳央会長の三氏が、熱く語り合った。
ステークホルダーの心を動かす「人的資本開示と実践」

ステークホルダーの心を動かす人的資本開示とは

一橋大学CFO教育研究センター長 伊藤邦雄氏

人的資本開示の目的はいくつか挙げられます。まず、最初はフィードバック効果、情報インダクタンス。これは、情報開示が経営の実態にフィードバックする、あるいは一定の経営行動を誘発するという意味です。2つ目は、暗黙知・無意識活動の言語化・形式知化です。人的資本への向き合い方をステークホルダーにわかってもらうためにも、開示は非常に有効な手段となります。ステークホルダーには投資家だけでなく社員も含まれます。そうした人々に自社の人的資本経営を理解していただくことも開示の重要な狙いです。加えて、労働市場での理解を促進する効果もあります。

さらに、最近は多くの企業がESG・サステナビリティ活動に取り組んでいます。自社で何を行っているかを理解してもらうことも必要です。そして、願わくば人的資本経営や情報開示を通じて、企業価値の向上につなげたいということです。あるいは、自社と他社の活動を比較することで、自社の位置づけを理解したり経年変化も確認したりできます。

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