HRプロ編集部が企業の人事やHRに関連するキーマンを取材しながら、日々奮闘する人事の方へ施策のヒントをお届けしていく連載インタビュー「正解がない中で模索する人・組織づくり」。今回は、ITを通じた社会課題の解決に取り組む日鉄ソリューションズ株式会社の取り組みを紹介する。人材を“資本”と考え、中期事業方針のひとつに「優秀な人材の獲得・育成の一層の強化」を掲げる同社は、近年様々な人事制度の改革を進めている。本記事では、ProFuture株式会社 代表取締役社長/HR総研 所長 寺澤康介がファシリテーターを務め、同社執行役員 人事本部長 竹田宏氏がお話した、人事制度変革の背景から、ドラスティックな改革の中での苦労、これから注力していくテーマなどをお届けする。


プロフィール

  • 竹田 宏 氏

    竹田 宏 氏

    日鉄ソリューションズ株式会社
    執行役員 人事本部長

    1989年、新日本製鉄(現:日本製鉄)に入社。新規事業部門、全社総務、製鉄所を経験後、新日鉄ソリューションズ(現:日鉄ソリューションズ)に出向、移籍。同社立ち上げに携わり、総務、上場準備、法務など管理部門を10年ほど経験する。その後、事業部門にて新サービス立ち上げなどを務めたのち、2021年4月より現職。

  • 寺澤 康介

    寺澤 康介

    ProFuture株式会社
    代表取締役社長/HR総研 所長

    1986年慶應義塾大学文学部卒業。同年文化放送ブレーン入社。2001年文化放送キャリアパートナーズを共同設立。常務取締役等を経て、07年採用プロドットコム株式会社(10年にHRプロ株式会社、2015年4月ProFuture株式会社に社名変更)設立、代表取締役社長に就任。8万人以上の会員を持つ日本最大級の人事ポータルサイト「HRプロ」、約1万5千人が参加する日本最大級の人事フォーラム「HRサミット」を運営する。

「若手」から「シニア」まで各層を巻き込み、複数の新制度を同時に進めた日鉄ソリューションズの人事制度改革

様々な変化の中で、会社も人も持続的な成長をしていくための人事制度変革

寺澤:まずは、貴社が人事制度改革に取り組まれた背景について教えてください。

竹田氏:世の中が大きく、かつスピーディーに変化しています。デジタル化、ボーダレス化、少子高齢化という中、人材獲得競争が激化しています。一方で人生100年時代といわれ、まだまだ元気で働けるシニア世代が増加しています。さらには、人々の価値観の多様化が一気に進展しました。例えば、働くことについて、私たちの世代は、就職=就社ということで、「一生ひとつの会社で勤め上げる」ことが当たり前と考える人が多かったと思います。しかし現在、そういう意識は相当薄れてきていて、自分の専門性を築き、能力を最大限に発揮できるところで頑張りたいと考える人が若い方を中心に多くなっています。ワークライフバランスへの意識も年々高まっています。それに加えて技術、特にAIの進化も著しいです。この変化に対応していかねば、成長することはもちろん、場合によっては存続すら難しいという危機意識が背景にあります。

その中で、企業として今後も成長・存続していくには、変化を前向きにとらえて向き合うことが必要です。変化の中でも自らの価値を高めて、自律的に答えを出していく人材が求められています。そうした人材を後押しし、報いていく仕組みを持たねばならないと考えました。

寺澤:竹田さんは昨今の人的資本経営の潮流についてはどう捉えていますか。

竹田氏:当社は以前から、「当社の最大の資産・資本は人材である」と標榜し、経営戦略・技術戦略・人材戦略を連動させ、様々な人事施策を講じてきました。人的資本経営という言葉が広がる前から、同様の思想を持って取り組んできましたので、当社にとって、昨今の人的資本経営の潮流は特段目新しいものではありません。経営戦略と人材戦略の連動が不可欠な人的資本経営を推進する上で、これまでの事業部門での経験が活かせていると考えています。

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