採用内定時に必要な書類と、気をつけるべきポイントとは
一般的に、採用内定時には下記のような書類を作成し、内定者に交付します。書類の名称は企業によって様々ですが、大きく3つの目的の書類が作成されることが多いです。(2)内定者の入社意思を確認するもの(「内定承諾書」、「内定誓約書」、「入社誓約書」など)
(3)入社後の労働条件を明示するもの(「労働条件通知書」など)
上記(1)と(2)に関しては、法律で定められている書類ではないため、必ず作成しなければならないものではありません。ですが、後のトラブルを防ぐ意味でも、作成して内定者へ渡すことが望ましいです。また、(1)と(2)をまとめて1つの書類にしている企業もあります。
以降では、これらの書類のポイントを紹介します。
内定が出たことを通知する書類:「内定通知書」
多くの企業で「内定通知書」と呼ばれる書類は、名称のとおり、内定が出たことを企業が通知するための書類です。この書類には、「内定となった旨」、「入社日」を記載します。内定者の入社意思を確認する書類:「内定承諾書」、「内定誓約書」、「入社誓約書」など
内定者の入社意思を確認する書類は、企業によって名称は様々ですが、「内定承諾書」や「内定誓約書」、「入社誓約書」のような名称が用いられます(以降、「内定承諾書」)。内定者の入社意思を確認するものですので、内定者に署名等をしてもらい、提出を求めます。内定承諾書には、(1)入社承諾の旨、(2)氏名や住所、連絡先変更の際には速やかに報告する旨、(3)内定取り消しすることがある旨とその事由等を記載し、内定者の署名欄を設けます。その他、入社日までに守るべきことを記載しても構いません。
「内定取り消し事由」は企業によって異なりますが、下記のような事由を設定することが多いです。
●大学等を卒業できなかったとき
●企業に虚偽情報を提供したとき
●企業のルールに違反したとき
●新規採用が不可能になるような予測不能な経営事情が発生したとき
内定承諾書は提出してもらう必要がありますので、提出方法と提出期限も案内します。期限になっても提出されない場合には、放置するのではなく、個別連絡をして状況を確認することを推奨します。入社の意思の有無がわからないと企業も入社準備ができませんし、曖昧な状態を放置するとトラブルの元にもなりかねません。
入社後の労働条件を明示するための書類:「労働条件通知書」
いわゆる「労働条件通知書」で、入社後の労働条件を明示します。新卒内定者に限ったものではありませんので、皆さんにも馴染み深いものかと思います。今回は詳細を割愛しますが、内定を出すことは「条件付きの労働契約の成立」と扱われることがあります。「労働基準法」では、労働条件は“労働契約が成立するまでに”書面で明示することが義務付けられていますので、「労働条件通知書」も「内定通知書」や「内定承諾書」と同じタイミングで交付するのが望ましいです。入社後の労働条件を再確認した上で内定承諾するかを決めてもらうことで、ミスマッチによる内定辞退や早期退職を防ぐことにも繋がります。
また、新卒採用の場合には内定から入社まで期間が空きますので、入社までに労働条件が変更になる場合には、変更内容を迅速に明示します。当然、入社前であっても、労働条件の不利益変更には原則合意が必要です。
さらに、2024年4月からは、法改正により明示事項が追加されます。これまでは、就業場所・業務内容は入社時のものを明示することで足りましたが、今後は、将来の配置転換等で変更の可能性があるものも明示が求められます。記載例やFAQは今後公表されると想定されますので、最新情報を確認できる体制を整えておきましょう。
なお、下記画像は、厚生労働省リーフレット「2023年4月から労働条件の明示ルールが変わります」から引用したものです。
その他の書類
「内定承諾書」発行と同タイミングでなくとも良いですが、入社までに提出が必要な書類の一覧は早めに渡しておきましょう。新卒採用に限ったことではありませんが、入社手続きのため、内定者には多くの書類を提出してもらうことになります。必要な時期までに確実に準備してもらえるよう、いつまでにどの書類を提出する必要があるのかは早めに案内しておくことを推奨します。いかがでしたか。今回紹介した書類はいずれも、内定から入社までの曖昧な状態をなくし、後のトラブルを防ぐ意味合いも大きいです。本記事が、手続きの再確認の機会になれば幸いです。
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