10月21日、厚生労働省の労働政策審議会(以下、審議会)において、就活中の学生に対するセクシュアルハラスメント(以下、セクハラ)について、企業に対策を講じることを義務化する方向性が労使で大筋合意に至りました。男女雇用機会均等法は、労働者へのセクハラを防止するために、事業主に対して相談窓口の設置や加害者への厳正な対処といった職場における対策を義務づけていますが、求職者は同保護の対象になっていません(※)。数年前には大手企業社員による、OB・OG訪問サイトを悪用するなどした女子学生へのセクハラ事件が明るみになりましたが、就活生へのセクハラを防止する法律が依然未整備のままになっていることに、いまさらながら気づかされました。
※いわゆるセクハラ指針により、“求職者・インターンシップを行っている者等に対する言動について必要な注意を払うよう配慮する/努めることが望ましい”とされています。
なお、審議会では、セクハラだけでなく、パワーハラスメント防止対策の義務化などについても議論を続けていくとしています。インターンシップや面接を実施する人事担当者だけでなく、OB・OG訪問への対応を依頼する現場社員まで視野に入れるのであれば、全社員へのコンプライアンス意識の徹底をこれまで以上に強く推進していく必要があります。
7割程度が内定式までの配属先告知を希望
今回も前回に引き続き、HR総研が就活口コミサイト「就活会議」と共同で、2025年卒業予定の同サイト会員学生を対象に実施した「2025年新卒学生の就職活動動向調査(6月)」(調査期間:2024年6月3~17日、有効回答:338件)の結果を紹介します。今回は、配属先に関する告知・提示や学生の就業意識、将来希望するポジション、入社予定の会社に対して持っているイメージについて取り上げていますので、ぜひ参考にしてください。まずは、入社後の最初の配属先について。「配属ガチャ」という言葉があるくらい、就活生にとっては一大関心事です。「配属ガチャ」とは、新卒新入社員(以下、新入社員)がどの勤務地や部署、職種に配属されるか分からない状況を、何が出てくるか分からないカプセルトイの販売機(いわゆる“ガチャガチャ”)になぞらえて表現した造語です。希望どおりの配属にならなかった新入社員が、自虐的に使うことが多いようです。
では、就活生はどのタイミングで初任配属を告知されることを望んでいるのでしょうか。文系・理系ともに最も多かったのは「内々定時点」で、それぞれ23%、26%と4人に1人程度となっています[図表1]。2番目以降の順位についても文系と理系でほぼ同じ傾向となっており、「募集時点」(文系20%、理系18%)が2位、「内定式(または10月1日)後、年内」(文系17%、理系14%)が3位で続いています。「募集時点」から「内々定から内定式(または10月1日)までの間」を合わせた“内定式まで”で見ると、文系66%、理系70%と7割程度となっています。
学生が望む配属先の告知時期を見てきましたが、実際の企業の提示状況はどうでしょうか。「内々定前に配属先を提示された」と回答したのは、文系25%、理系28%、「内々定してから現在までに配属先を提示された」は文系・理系ともに4%となっており、両方を合わせた“内々定後の6月上旬までに配属先を提示された”学生は文系29%、理系32%と約3割です[図表2]。残りの約7割(文系71%、理系68%)は「まだ提示されていない」という結果となりました。本調査は6月に実施されていますので、まだ10月の内定式前ということもあり、[図表1]と比較できるデータは限定されます。[図表1]の「募集時点」から「内々定時点」までを合計した“内々定まで”で見ると、文系54%、理系57%と5割を優に超えています。一方、[図表2]の上記“6月上旬まで”は約3割ですから、学生の希望と実際の状況にはかなりの乖離(かいり)が見られます。これから配属先が告知される段階で、「配属ガチャ」だと感じてしまう学生は少なくないものと思われます。