大人版「いじめ防止対策推進法」が必要な時代に
以前の職場のトラブルと言えば「解雇」でしたが、近年はその傾向が大きく変わってきました。以下の資料(厚生労働省「令和4年度個別労働紛争解決制度の施行状況」より、図表「民事上の個別労働紛争/主な相談内容別の件数推移(10年間)」)をご覧ください。※2022年4月の「改正労働施策総合推進法」の全面施行に伴い、(これまで「いじめ・嫌がらせ」に含まれていた)同法上のパワーハラスメントに関する相談は全て(同法に基づく対応となり)別途集計することとなったため、2021度以前と2022年度以降では集計対象に大きな差異があります。
主な「ハラスメント」とその内容を公開
主に法律に定めのあるハラスメントは以下の通りになります。●「パワーハラスメント」(パワハラ)
職場の上司と部下の関係を用いて嫌がらせを行うことです。具体例としては、「数時間にわたって叱責を受け続ける」、「実務に必要な情報を与えない」などがあります。関連法は「労働施策総合推進法」です。●「セクシュアルハラスメント」(セクハラ)
性的な嫌がらせや不愉快にさせる発言を行うことです。具体例としては、「恋人の有無等、性的な事実関係を執拗に尋ねる」などがあります。関連法は「男女雇用機会均等法」です。●「妊娠・出産・育児休業等に関するハラスメント」(マタハラ)
妊娠・出産で不利な就業環境を強いられたり、制度を利用しないよう迫られたりすることです。具体例としては、「育児休暇を取得させない」、「妊娠による退職を迫る」などがあります。関連法は「男女雇用機会均等法」、「育児・介護休業法」となります。上記のほかにも以下のようなハラスメントがあります。
ハラスメントの予防と事後対応の注意点
2022年4月から、職場におけるハラスメント(パワハラ、セクハラ、マタハラ等)の対策が、全ての事業主に義務付けられました。例えば、就業規則に規定したり、研修を実施したり、相談窓口を設置したり、「働きやすい職場のためのアンケート調査」などを実施したりしてみてはいかがでしょうか。ハラスメントの相談があった場合の対応も注意が必要です。「本人(被害者)」、「相手(加害者)」、「第三者(目撃者など)」へのヒアリングを必要に応じて実施し、事実関係の有無を確認して、ハラスメント行為があると判断した場合には、企業で協議の上、きちんと対応することが求められます。厚生労働省のパンフレットには、具体的な対策方法や、対応の流れの例も掲載されていますので参考になさってください。
ポイントは「ハラスメント(いじめ・嫌がらせ)は絶対に許さない。職場でのハラスメントがあれば、会社の責任問題」ということです。大人も子供も、他人の権利及び尊厳を尊重し、個性を活かせる社会になることを願っています。
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