採用活動前にインターンシップを実施する企業が多くなりましたが、これまで、インターンシップで取得した学生情報については、「広報活動や採用選考活動に使用してはならない」とされてきました。しかし2022年6月に、この“ルール”が一部改正され、一定の要件を満たしたインターンシップについては、取得した学生情報を採用選考活動等に活用することが可能になりました。では今後、どのようなインターシップであれば、学生情報を活用することができるのでしょうか。
25卒より「インターンシップで取得した学生情報」が採用活動で利用可能に。政府が示した要件や、企業が行うべき準備とは

政府が方針を固め、学生情報の活用要件が明確に

本来、インターンシップは「学生が在学中に自らの専攻、将来のキャリアに関連した就業体験を行うこと」と定義されており、企業はそこで取得した学生情報を広報活動や採用選考活動に使用してはならないとされてきました。

これについて、文部科学省、厚生労働省および経済産業省は合同で、「インターンシップを始めとする学生のキャリア形成支援に係る取組の推進に当たっての基本的考え方」を2022年6月13日に一部改正し、現在の大学2年生(25卒生)より、一定の要件を満たしたインターンシップについて、「取得した学生情報を広報活動・採用選考活動に活用することが可能」という方針に変更しました。

この「一定の要件」には、『就業体験要件』として「必ず就業体験を行う。インターンシップ実施期間の半分を超える日数を職場での就業体験に充てること」や、『実施期間要件』として「インターンシップの実施期間は、汎用的能力活用型では5日間以上、専門能力活用型では2週間以上であること」、『実施時期要件』として「学業との両立に配慮する観点から、大学の正課および博士課程を除き、学部3年・4年ないし修士1年・2年の長期休暇期間(夏休み、冬休み、入試休み・春休み)に実施すること」等が含まれています。

これまでも、実質的には「インターンシップで得られた情報が採用活動に用いられていた」ともいわれていますが、政府によって方針が明確化されたことの意義は大きいと思われます。

学生情報を活用可能なインターンシップに向けて“企業が準備すべきこと”とは

今回変更となった、「企業等がインターンシップを始めとするキャリア形成支援に係る取組で取得した学生情報の広報活動・採用選考活動における取扱いの考え方について」に基づき、企業は今後、インターンシップで得た学生情報の取扱いに留意する必要があります。

加えて、募集要項等には以下の項目に関する情報を記載し、HP等で公表しましょう。

(1)プログラムの趣旨(目的)
(2)実施時期・期間、場所、募集人数、選抜方法、無給/有給等
(3)就業体験の内容(受入れ職場に関する情報を含む)
(4)就業体験を行う際に必要な(求められる)能力
(5)インターンシップにおけるフィードバック
(6)採用活動開始以降に限り、インターンシップを通じて取得した学生情報を活用する旨(活用内容の記載は任意)
(7)当該年度のインターンシップ実施計画(時期・回数・規模等)
(8)インターンシップ実施に係る実績概要(過去2~3年程度)
(9)採用選考活動等の実績概要 ※企業による公表のみ


また、現在は多様な「インターンシップ」が存在しますが、今回、下図のように「タイプ1」から「タイプ4」まで明確に分けられました。
25卒より「インターンシップで取得した学生情報」が採用活動で利用可能に。政府が示した要件や、企業が行うべき準備とは
「タイプ3」及び「タイプ4」の大学等のインターンシップについては、「学生がその仕事に就く能力が自らに備わっているかどうか(自らがその仕事で通用するかどうか)を見極めることを目的に、自らの専攻を含む関心分野や将来のキャリアに関連した就業体験(企業の実務を経験すること)を行う活動(但し、学生の学修段階に応じて具体的内容は異なる)」と定義されました。これは、募集要項に「産学協議会基準準拠マーク」を記載することで見分けることが可能になりますので、今後、インターンシップを選択する際にご参考いただければと思います。


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