「社内コミュニケーション」とは、社内での日常的な会話や情報の交換・共有を意味する。特に「働き方の多様化」や「価値観の変化」が話題となっている現代では、その重要性がますます増している。社内コミュニケーションに関する取り組みを行えば、従業員の相互理解も進み、業務効率化や生産性向上、そして従業員満足度の向上も期待できる。今回は、企業のイノベーションを進めていくためにも知っておきたい「社内コミュニケーション」について詳しく解説したい。
「社内コミュニケーション」の活性化に向けた取り組み事例とは? 課題やイベントなど会話不足を解消するためのポイントを解説

「社内コミュニケーション」の定義や課題とは

「社内コミュニケーション」とは、社内における日常的な会話や情報の交換・共有を指す。働き方も多様化し、異なる価値観を持つ従業員が一緒に働く現代では、社内でコミュニケーションをきちんと取ることが企業運営にとっても重要になる。

社内コミュニケーションを軽視している場合、従業員間の関係が良好に保てなくなる恐れもある。良好な関係が構築できなければ、報告・連絡・相談や情報共有に支障をきたすリスクもあるため、企業としては常に考えておくべき取り組みともいえるだろう。

では、まず社内コミュニケーションにはどのようなメリットがあるのか、そして、その課題について解説したい。

【メリット】

●業務効率化・生産性向上につながる
社員同士の意思疎通が取れていれば、効率よく仕事を進めることができる。そのため、生産性の向上も期待できるだろう。また、問題が生じた場合も、従業員が力を合わせて解決を図ろうとするため、チームワークの向上にもつながる。

●情報やナレッジの共有が活性化する
社内コミュニケーションが活性化すれば、情報やナレッジに対する共有の意識も以前に比べて高まっていくだろう。知識の共有は、社員の業務遂行能力、モチベーションの向上も期待できる。

●アイデアやイノベーションが生まれる
社内コミュニケーションを活発に行うことで、意見やアイデアを出しやすい雰囲気が社内に生まれる。アイデアやイノベーションを生むためには、自由に話し合える雰囲気が重要となる。

●離職率が低下する
社内コミュニケーションが活発に行われていると、従業員間で声を掛けやすい空気を作ることができる。仕事や困ったことを相談できる職場では、人間関係が良好なため、離職率の低下が期待できる。

●従業員満足度が向上する
困りごとを相談しやすい職場では、意見の食い違いが起こりにくく、仕事に対しての考えを共有することが容易になる。意見の交換も活発に行える職場は、意思疎通に対して抱えていた不満の解消にもつながり、従業員満足度も向上していくだろう。

●顧客満足度が向上する
従業員間で情報を共有しておくと、誰が顧客対応を行っても同じレベルで接客することが可能だ。また、提案力アップも期待できる。これらが顧客の満足度につながる可能性は非常に高い。

●企業ブランドが向上する
社内コミュニケーションの成果や独自の取り組みをホームページやSNSに発信していくことは、企業ブランドの向上にもつながっていく。口コミで学生や求職者に拡散していけば、採用ブランディングにも良い影響を与えるだろう。

【課題】

●顔を合わす機会があまりない
テレワークの拡大によって、従業員同士が顔を合わせる機会が少なくなった企業も増えている。オフィスではすれ違いざまに何気ないコミュニケーションが生まれることもあるが、オンラインでは自らきっかけを作らなければいけない。直接会うことがなかなかなければ、会話や雑談の量も自ずと減るだろう。

●雑談がしづらい
テレワークが普及し、オフィス内で偶然会ってからの雑談や、昼食を一緒に取りながら話すという機会が少なくなっている。また、業務効率化に取り組むあまり、雑談を軽視する企業では、社内コミュニケーションが取りにくい雰囲気がある。

●社員が社内コミュニケーションの必要性を感じていない
企業側が社内コミュニケーションを取ることに力を入れていても、従業員側が積極的ではないパターンもある。特に、自分の部署外の人と話すことに抵抗があるという人は少なくない。社内コミュニケーション自体が不要と考える従業員がいることも押さえておこう。

「社内コミュニケーション」の活性化に向けて必要なポイントとは何か

ここでは、社内コミュニケーションを活性化させるためにはどうすればいいのかいくつかポイントを紹介したい。

●社員同士の交流の場を設ける

従業員同士の交流に抵抗をなくすために、席ごとにある仕切りを撤去する、部署のレイアウトを考え直すという方法がある。社内に休憩スペースを設け、従業員が気軽に集まりやすい雰囲気を作るのも効果的だ。

●従業員の情報を知るきっかけをつくる

従業員同士が直接顔を合わせないと、社内コミュニケーションのきっかけは生まれにくい。交流会の開催、社内報の発行などで、他の従業員の情報を知る機会を増やしていくのも有効だ。

●積極的に新たな取り組みにチャレンジする

今まで社内コミュニケーションの活性化に取り組んでいなかった企業では、いきなり従業員の交流が活発になるということは考えにくい。積極的に色々な取り組みにチャレンジし、改善しながら取り組んでいくことが重要だ。チャレンジの中で社内コミュニケーションが生まれることも期待できる。

●会社全体で動く

活発な社内コミュニケーションは、企業の人事の取り組みだけでは実現できない。複数の部署を横断して、さまざまな試みを行うことが効果的である。経営層や従業員など、会社全体での協力が欠かせないだろう。

「社内コミュニケーション」の取り組み事例を一挙紹介

社内コミュニケーション活性化の取り組みに向けて、具体的な例を紹介していこう。

●社内報を作成する

社内報を作成・発行し、経営層の考えや従業員の情報を積極的に発信すると良い。作成の過程で「従業員インタビュー」や「座談会」を企画すると、その中から社内コミュニケーションが生まれる可能性もある。また、複数の部署から社内報作成の担当者を出すことで、従業員同士による交流の活発化も期待できる。

●社員研修を実施する

自然発生的な従業員同士の交流を期待するだけでなく、研修の実施にも取り組みたい。研修には社内コミュニケーションの活性化だけでなく、従業員の能力向上、生産性向上につながる効果もあるので多くのメリットを生む。

●社内イベントやレクリエーションを実施する

「社内運動会」、「社員懇親会」といったイベントやレクレーションを行い、日常業務で顔を合わせることが少ない従業員や経営層との交流の機会を作ることも考えたい。また、イベントだけでなく、「社内部活動」、「部署をまたいだ勉強会」など日常から社内コミュニケーションの機会を増やすことも有効だ。いきなり社内コミュニケーションが増えることはないかもしれないが、徐々に根付かせる効果がある。

●サンクスポイントを導入する

社内独自のポイント制度を作り、ポイント数に応じて、商品やギフト券といったインセンティブを提供するという方法もある。従業員間、上司から部下へなど、感謝したいことがあった時にポイントを贈るというシステムを作っておくと、日頃から他の従業員の良いところに目が向きやすくなり、社内コミュニケーションの活性化にもつながる。

●社内SNSを導入する

社内SNSを導入し、社内の情報を共有するシステムを作るのも良い。社内イベントや部活動・勉強会の情報を掲載することで、効率よく社内の状況を共有することができる。また、社内SNSに情報を掲載すると、誰が何を行っているかもよく分かるため、イベント参加へのハードルが低くなるという効果も期待できる。また、従業員の誰もが書き込めるようにすれば、社内全体を巻き込んでいけるメリットもある。

●チャットツールを導入する

チャットツールはメールに比べて、会話をするような感覚でテンポよく複数名とコミュニケーションを図れる。気軽に雑談をしたり、共通の趣味について話せたりできるルームを設けることで、従業員同士の交流もより一層促進できるだろう。
「社内コミュニケーション」は、ビジネスの円滑化のために特に重視したい取り組みである。働き方の多様化によって、従業員同士が顔を合わせる機会が減っている時代になり、社内コミュニケーションをどのように取るかは以前よりも重要になってきている。

また、社内コミュニケーションには、「従業員満足度の向上」や「離職率低下」だけではなく、活発な意見を交わすことで「業務効率化」や「生産性向上」といった効果も期待できる。また、新たなことに積極的に取り組む姿勢は、企業ブランドの向上にもつながる。

社内コミュニケーションを取る方法はいくつもあるが、まずは社員同士の交流機会を増やすこと、社員の情報を共有することに取り組んでいきたい。具体的な方法としては、「社内報の作成」、「社員研修の実施」、「社内イベントの実施」などが挙げられる。まずは積極的にチャレンジして自社に合った方法を探していただきたい。
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