EYが新卒採用に関する調査を実施するのはこれで2回目。前回調査は、2018年10月に経団連が発表した「就活ルール廃止」の影響を分析するため、2019年2月に行われた。その後、2019年4月に経団連が大学側と通年採用の拡大を合意する、2019年10月に就活ルールの運用が政府主導となる、など新卒採用を取り巻く環境は急激に変化を遂げた。状況が変わったことにより、今回は、「初回からの定点観察」と「新たな質問を加えた分析」の2点を調査の目的とした。実施期間は2020年3月4日~10日。オンラインサーベイにより学生334名、企業358社から回答を得ている。
今後も継続して、就活ルールに捉われない柔軟な採用手法・時期が浸透していく
調査結果と考察の発表は、EYのピープル・アドバイザリー・サービス・シニアマネージャーである小野祐輝氏が担当。開口一番、「前回の調査から、大きな傾向の違いというのはありませんでした」と語った。昨年同様に見られた傾向として、大きく下記の3つを挙げた。【1】学生・企業ともに就活ルールの理解・関心は低く、ルール継続・廃止への要望も少ない
【2】企業の約半数が、通年採用や採用チャネルの多様化、柔軟な働き方の整備を検討している
【3】学生が採用企業に期待することと、企業の採用手法や方針変更の方向性は、共に「採用時期」と「柔軟な働き方」が多く挙がっていた
昨年同様、企業・学生共に就活ルールへの理解や関心は低く、継続を望む声も少ないという。このような中、企業の施策と学生の期待はともに「通年採用」と「柔軟な働き方」に関するものに絞られている。この結果を受け、小野氏は今後の新卒採用の見通しについて、「継続して、就活ルールに捉われない柔軟な採用手法・時期が浸透していく」と見解を述べた。