第8回 日本HRチャレンジ大賞『イノベーション賞』
株式会社データミックス
ConcentrateLMS(コンセントレ-トLMS)。学習者の集中度を測定し、学習者や講師、学習コンテンツへの客観的フィードバックの実現
Webカメラやモバイルのカメラで研修やeラーニングで学習中の人の顔を撮影することで特徴点を抽出し、目の動きや顔の角度から独自のアルゴリズムで学習中の「集中度」を客観的に測定する試みは、コンテンツの改善や講師の評価にも活用できるサービスであると高く評価されました。ゲスト
吉岡耕児 氏
株式会社データミックス
大学卒業後新卒として外資系大手消費財メーカーで、セールス、営業企画、サプライプランニング、マーケティングでブランドマネージャーと幅広い分野を経験。2017年にデータミックスに参画し、経営企画・マーケティング・スクールオペレーション・職業紹介ビジネスなどデータミックスのサービス全般を担当。
取締役副社長 最高戦略責任者 兼 データサイエンス事業本部長
eラーニング受講者の集中度を“見える化”することで、受講者、企業の管理者双方に改善策を提案
――まず初めに、御社で実験運用されている「ConcentrateLMS」とはどのような機能を持ったシステムなのか、簡単に仕組みを教えてください。吉岡耕児氏(以下、吉岡) 「ConcentrateLMS」とは、受講者の“集中度”を測定することで、学習した本人や企業の管理者、講師、学習コンテンツそれぞれに対するフィードバックを提供し、これまで「経験と勘」で決められていた人材育成を、「データ」という客観的根拠によって評価・改善をするシステムです。現在(取材実施の2019年7月)はまだ試験導入期間で、正式なリリースは2019年末を予定しています。
機能としては、まずeラーニング受講者のパソコンについているカメラで学習中の顔を撮影し、目や眉毛、鼻、口といった特徴点の動きや顔の確度を抽出。独自のアルゴリズムで分析し、学習中の“集中度”を時系列的に測定します。例えば、目を閉じていたり、下を向いたりといった時間が閾値を超えると、その時間は「集中していない」と判断する、というものです。
次に、その測定結果を分析し、受講生には「フィードバック(FB)レポート」、企業の管理者には「モニタリングレポート」、そして「コンテンツ改善レポート」をまとめてご提供します。「FBレポート」では、集中できていなかった、つまり理解が不足していると思われる箇所の可視化や、受講姿勢の改善提案などが盛り込まれています。「モニタリングレポート」では、受講者の学習行動や集中力・学習意欲、理解度を個人ごとに把握できるとともに、講師の教授法などに起因する時系列での集中度の遷移および講師間の比較評価が可能です。「コンテンツ改善レポート」では、講座間の比較や1講座における集中度の時間推移によって、集中度が落ちた時の講義内容や方法の改善などに繋げることができます。
これによって、例えば「講座開始直後に受講者の関心を掴む話をしたほうが集中度が続く」、「10分ごとに休憩を入れたほうが集中できる」といった改善施策が見えてきます。また、同じ講座でも個々の受講者ごとに集中度にバラつきがあるので、集中度の標準偏差および平均値の2軸で座標を取り、標準偏差も平均値も低い講座は“悪い”、標準偏差が低く平均値が高い講座は“良い”、標準偏差も平均値も高い講座は“全体的には良いが個人差あり”といった評価も行えます。
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