大和ハウス工業株式会社は2024年5月9日、社内起業制度『Daiwa Future100』の運用を、同年6月より開始すると発表した。同制度は、同社の人的資本投資の一環として施行されるもので、最大300億円が投じられるという。
社内起業(社内ベンチャー)制度『Daiwa Future100』を大和ハウス工業が導入。人的資本投資の一環として“挑戦する風土”醸成の事例に

パートナーと連携した検証による事業開発の確度向上や、既存事業にとらわれない事業創出が可能に

大和ハウス工業は、創業から100年を迎える2055年を見据えてかかげたパーパスの実現に向け、中期経営計画(第7次)において、人的資本の価値向上のための「従業員への複線的な成長機会の提供」に努めているという。今回はその取り組みの一環として、今後の同社グループを担う人材の育成、および“挑戦する風土”の醸成を目指し、社内起業制度『Daiwa Future100』を導入するとのことだ。

『Daiwa Future100』では、新入社員・若手社員から中堅社員、ベテラン、役員まで職位や年次を問わず、国内外の同社グループ企業のおよそ5万人の正社員が対象になる。本制度においては、新規事業開発の実績が豊富な外部パートナーとの連携による事業検証ができ、事業開発の確度・質の向上や、既存事業の内容にとらわれない事業創出が可能になるという。本制度によって設立される新会社については、起案者が自ら社長となり、事業化・事業推進を進める方針としている。

『Daiwa Future100』の概要は、以下の通りだ。

【社内起業制度『Daiwa Future100』】
●対象者
大和ハウスグループの従業員約5万人

●提案領域
業種、テーマ等は特に制限なし(同社の経営理念・経営方針を逸脱しない分野)

●予算総額
最大300億円

●予算使途
事業検証および会社設立・運営費用

●スケジュール(予定)
・応募開始:2024年6月上旬
・最終審査:2024年12月下旬
・事業検証開始:2025年1月~
※以後、予算到達まで継続実施予定


大和ハウス工業は本制度の導入により、失敗を恐れずにイノベーション創出に挑戦できる組織風土の醸成にくわえて、将来の同社グループを形成する“事業群”の創出にも期待しているという。

今後も同社グループでは、社是にかかげる「事業を通じて人を育てる」との理念に基づき、従業員一人ひとりが成長できる場の創出を通して“個”と“組織”の力の最大化やイノベーションの基盤づくりを進め、「生きるよろこびを分かち合える世界の実現」を目指していくとしている。
社内起業・社内ベンチャー制度導入は、既存事業にない新たな事業モデル創出にあたり、利益拡大やリスク分散といった目的のほか、意欲のある社員のモチベーション向上にも大きく寄与すると考えられる。今回の大和ハウス工業の新制度のように、人的資本投資の一環としても期待は高いだろう。事業拡大を検討する企業においては、本事例を参考に社内起業制度の導入を検討してみてはいかがだろうか。

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