日本では2017年から始まり、今年で3回目を迎える。サステナビリティの考えが、日本でも広く知られるようになったのは、2015年に国連サミットで採択された、「SDGs」(Sustainable Development Goals)にある。持続的な開発目標と訳され、17のゴールと169のターゲットで構成され、「地球上の誰一人として取り残さない」ことが誓約されている。その内容は、貧困や飢餓、健康、資源、インフラ、格差などに及び、発展途上国も先進国も一緒に取り組むべき内容となっている。サステナブル・ブランド国際会議はこれら、問題を解決する方法やサステナブルな活動について、参加者が考え議論する場だと言えるだろう。
今回のテーマは「Redesigning THE GOOD LIFE:“グッド・ライフ”実現に向けての再構築」。グッド・ライフをゴールとし、変化する世の中の価値観を見定め、自己変革を持って再構築していく、という趣旨のもとに、講演やワークショップ、プレゼンテーションのほか、協賛企業によるブース展示が行われる。
HRプロでは、初日(6日)のPlenary Sessions(基調講演)と会場の模様を取材したのでレポートする。
「人」と「働き方」に関するサステナビリティな取り組みにフォーカス
セッション冒頭に流れたのは、音楽家、坂本龍一氏のビデオメッセージ。坂本氏は音楽活動の傍ら、一般社団法人more trees(モア・トゥリーズ)の代表を務めるそうだ。more treesは、2007年に設立され、以来11年間にわたり、植林や森林保護で森を作り、森から作った製品を都市に届けるというエコシステムを軸に活動を続けているという。坂本氏は、ビデオメッセージの中で「1つの森を作るのに60~70年かかります。そのため、more treesは次の世代、また次の世代につなげていく活動」と長期的な視点で取り組んでいることに触れつつ、「持続可能な地球環境を作るために頑張っていきましょう」とコメントを締めくくった。続いてサステナブル・ブランド ジャパンディレクターを務める博展の鈴木伸介氏が登壇。今回のテーマに込められた狙いについて「新しい世代の方々の価値観が変わってきている。その変化を捉えて、私たちが自ら変革していかなくてはいけない。つまり、サステナビリティを実現するための、リデザインを推進すること」と紹介。それに向けて「参加者の皆様が自由に連携、競争し、新たな取り組みにチャレンジすることが願いであり、そのプラットフォームにサステナブル・ブランド自体がなれればと考えています」と述べた。
ここからは、10名の識者がリレー形式で講演を行った。その中から、「人」と「働き方」に関する話を抜粋して紹介する。
パタゴニアは、米国で1965年に創業されたアウトドア用品メーカーだ。ミッション・ステートメントに「私たちは、故郷である地球を救うためにビジネスを営む。」を掲げ、根底に自社の製品が社会/環境に与える悪影響を削減できるか、という考えがある。例えば、使う素材や工程を監視することや、サプライチェーンにおいて安全、公平、合法かつ人道的な就労のもとに製造されているか、など徹底しているそうだ。そのため、人事部が常にCEOから言われていることが、採用するなら「地球を守れることをコミットできる人にしてくれ」だそうだ。この話を受け、マーク・リー氏は「サステナビリティにはリーダーシップが必要」と説明。環境を守る取り組みは一朝一夕ではできず、持続し続けるには、働く人の志向が重要性であることを示した。