前回の原稿を入稿するタイミングで飛び込んできたのが、経団連が2021年に入社する学生を対象とした採用活動のスケジュールを見直す方向だというニュースでした。2020年の東京五輪の影響で大型のイベント施設などが使用できなくなり、採用活動に支障を来すというのが主たる理由です。2020年入社の採用活動までは、現在の「3月 採用広報解禁、6月 面接選考解禁」ルールが継続されるとのこと。経団連では、かねてより「指針」のスケジュールである「3月 採用広報解禁、6月(16年卒は8月) 面接選考解禁」は政府に押し付けられたもので、自分たちが望んだものではなく、15年卒採用までの「12月 採用広報解禁、4月 面接選考解禁」の復活を求める声が少なくありませんでした。そういう意味では、東京五輪は採用活動スケジュールを見直すための「いい口実」になったとも言えます。
「スケジュールを見直すべき」が8割超
HR総研では、3月19日~26日に採用担当者を対象とした「2019年新卒採用動向調査」を実施し、その中で今回の経団連のスケジュール見直しについて、意見を聞いてみましたので、その結果からご報告します。まず、「見直すこと自体をどう思うか」を聞いたところ、半数近い48%が「どちらともいえない」と態度を保留しながらも、明確に「反対(変えないほうがいい)」とする声はわずか9%にすぎず、残りの43%は「賛成」と回答しています[図表1]。賛否を明確にした人の中だけで見れば、8割以上の人が見直すべきと考えていることになります。意外にも大企業では、「反対(変えないほうがいい)」とする回答が13%で最も多くなりました。
経団連は、今年の秋には方針を固めたいとしています。どんなスケジュールになるのか、注目したいと思います。
依然として学生の「大手志向」は続く
HR総研では、2019年卒採用の広報解禁から約3週間経過時点での動向を探るため、採用担当者を対象にした「2019年新卒採用動向調査」と、2019年卒業予定の大学生(楽天「みん就」会員)を対象とした「2019年就職活動状況調査」を、いずれも3月19日~26日に実施しました。今回は、「2019年就職活動状況調査」の結果を中心に、学生の意識と就職活動状況をご報告します。まずは、志望する企業規模から見ていきましょう。[図表3]は、文系・理系のそれぞれ前年同時期の調査との比較です。「絶対大手企業に行きたい」という層は文系・理系ともに増加傾向にありますが、「できれば大手企業に行きたい」という層は、理系では増加傾向であるものの、文系では逆に前年よりも4ポイント減少しており、「絶対大手」と「できれば大手」の合計で比べても、文系は前年よりも微減しています。ただ、合計で6割近い学生は「大手」にこだわっているわけですから、理系は「大手企業志向」がさらに高まり、文系も依然として高い状態が続いていると言えます。