優秀な人材であれば国籍、性別に関係なく採用する、という方針で人材を募集しているパターンです。募集職種も日本人と同じ、出身国についてもどこでもOK、ということになっているケースが多いようです。大学としては採用の間口がとても広く、ありがたいように感じますが、実は語学面やマインド面で日本人とほぼ同様のスペックを求めているため、それに合致する留学生がほとんどいないことに気づきます。最近はこの派生として、日本人が採用できないために外国人留学生にも門戸を広げる、という考え方で、留学生の募集を開始している企業も増えてきています。これはやはり、日本人と同等の語学力を前提にしているので、難しいと言わざるを得ない部分があります。
(2)ブリッジ要員型
海外に工場、あるいは開発委託先があり、そちらとのやり取り、もしくは将来的にはそちらの子会社への赴任を前提として採用するパターンです。当然これには、進出国の出身者に限る、あるいは職種が限定されるなどの制約があり、すべての留学生に当てはまるわけではありません。また、採用数も毎年一定数の大量採用というよりは、2~3年に1人というスポットでの採用に留まる会社が多いのが難点です。話を聞いてみると殊のほか留学生が活躍していることが多いのですが、留学生が知っているような有名企業でないことが多く本人がなかなか行きたがらない、という問題もあります。
(3)専門特化、ダイバーシティ促進型
エンジニア等の職種で専門性があればその部分だけで評価して採用するケースと、ビジネスのグローバル化に伴い、企業文化の変革を目指して留学生を意識的に採用するケースの2通りがあります。(1)の国籍不問採用と異なるのは、日本語ができなくてもOKという点でしょうか。このケースはかなり優秀な学生でないと採用されず、一部の企業はすでに各国のTOP校に直接リクルーティングに行っているので、そうした学生との比較になるという難しさがあります。
(4)インバウンド強化型
外国人の訪日数の増加に伴い、そうした客層をターゲットとしている企業でも、留学生の採用が増えてきています。客層に多い国の学生しか採用しないので、どうしても中国人を中心にした採用が多くなり、訪日数の少ない国の学生は採用されないという点と、仕事の大半が販売や接客なので、留学生があまり希望しないという問題点があります。
上述したような状況ではあるものの、実態としては、急に採用数が増えるような雰囲気はあまり感じられません。「留学生をうまく使いこなす」という発想での人材マネジメントを構築できている企業が、まだそれほど多くないように感じます。また、留学生自身も、「何が何でも日本企業で就職したい」という学生が減ってきているように感じます。日本人が海外に留学をしながら国内で就職するのと同様に、留学はすれども就職が目的ではないという考え方で、日本に来ている学生が増えているように感じています。
恥ずかしながら本学も留学生の就職支援を本格化するのは、今回からが初めてなので、これから学んでいかねばならないことが多いように感じています。折に触れてその内容もご紹介していきたいと考えています。
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