2018年新卒採用の「採用広報解禁」までもう間もなくですね。ウィンターインターンシップの真っただ中であるとともに、解禁日に向けて、就職ナビに掲載する原稿の作成、学内企業セミナーや合同企業セミナー参画のための各種準備、自社主催セミナー・説明会の企画・運営準備と、慌ただしい日々を送られていることと思います。
さて今回は、前回のこの項でも取り上げました1月11日の日本経済新聞社の報道「インターン採用に解禁案 文科など3省、経団連と調整 人材確保、柔軟に」を受けて、HR総研が1月下旬に実施した「インターンシップ採用に関する調査」結果をご紹介したいと思います。
インターンシップ採用解禁は歓迎の企業
まずは、文科省、経産省、厚労省の3省が検討している、インターンシップで得た学生評価を採用活動に活用できるようにすること(=インターンシップ採用の解禁)についてどう思うかを聞いてみました[図表1]。「どちらとも言えない」とする企業が、大企業・中堅企業で5割前後、中小企業でも約4割と多数を占めているものの、いずれの企業規模でも「反対」派は1割程度にとどまり、「賛成」派が「反対」派を大きく上回る結果となりました。それぞれの意見の理由を見てみましょう。
・インターンシップを通して、実際に会社や職場を見ることによって、学生が入社してからのギャップを抱きにくくなり、早期退職者が減少するのではないかと思うから(1001名以上、メーカー)
・面接等の短時間での評価よりも、じっくりと双方で相性が見極められるから(1001名以上、メーカー)
・知名度が高くない企業、あるいは職務内容がイメージしにくい職務を学生に知ってもらう良い機会と考えるため(1001名以上、メーカー)
・就業体験は学生にとって企業と自分が合うかを判断する場とも言える。反対に企業が学生を判断することでミスマッチが防げると思うから(1001名以上、メーカー)
・面接のみによる選考がミスマッチを生んでいると思うから(1001名以上、商社・流通)
・大企業のみに志望している学生が中小企業にも目を向ける機会となる(300名以下、サービス)
・インターンシップでの評価データを採用に活用するというより、採用や入社後の能力開発に活用できるような標準的な能力評価基準を構築し、インターンシップでの評価も行う。さらに、高校や大学でのキャリア教育にも活用すれば、教育現場と企業とが共通のツールを用いることで、人材の評価・能力開発が可能と考える(300名以下、サービス)
・面接だけでは分からない内面を知ることができる。ただし、参加していない・参加できなかった学生との公平性は考慮していかなくてはならない(300名以下、マスコミ・コンサル)
・インターンシップが採用ツールとして活用されることは違和感があるが、実質的にやっている企業も多くそれは自然なことだとは思う。学生も何となく参加するのではなく目的意識が高まるのでは(300名以下、メーカー)
・いまは体験程度に来ている学生の意欲が変わってくると思うのと、企業としてもやはり採用期間が短くなり苦戦しているので、その部分が緩和されると考えるから(300名以下、メーカー)
【反対】
・実質的に採用活動の前倒しに拍車がかかるから(1001名以上、メーカー)
・実質「採用」が3年生の夏から始まることにつながりかねない(1001名以上、メーカー)
・民間企業における新卒採用とインターンシップの関係性について、省庁がどうのこうの言うことは筋違い(301~1000名、サービス)
・インターンシップから採用まで対応できるのは大企業で、中堅企業・中小企業は不利となる(301~1000名、情報・通信)
・評価をできるほどの勤務実績を積むことができない(300名以下、サービス)
・現在のインターンシップは採用活動の前哨戦としてのイベントにすぎないが、それがゆえに学生の素の姿を見やすいというメリットがある(300名以下、サービス)
・純粋に会社理解を目的とすべきであり、指針の選考時期以前にインターンシップという名の下で実質的な選考が開始されてしまうのは問題である(300名以下、メーカー)
・すべての企業でインターンシップ受け入れ体制が整っているわけではない。また、学生側にも結果的にインターンシップの強制参加を促すことになりかねない(300名以下、メーカー)
・本来のインターンシップとは別物になっているので、名称を変更するべきである(300名以下、商社・流通)
賛成派は、採用や選考のミスマッチ低減、インターンシップ参加学生のモチベーション向上を主な理由として挙げています。一方の反対派は、採用活動の早期化・青田買いを懸念するとともに、インターンシップを実施できない企業や、インターンシップに参加できない学生のハンディを憂慮しているようです。