エントリーシートの作成・添削で活用される生成AI

2024年卒学生から徐々に広がってきている就職活動での生成AI(OpenAI社のChatGPTなど)の活用ですが、25年卒学生についてはどうでしょうか。文系では、「活用しない」が6割に上る中、「すべての応募企業に対して活用している」は6%にとどまるものの、これと「一部の応募企業に対して活用している」の28%を合わせた活用派は34%と約3分の1に上っています[図表10]。「活用するか迷っている」も6%あり、さらに増える可能性があります。

一方、理系では、「活用しない」が最も多いものの49%と半数に満たない状況で、「すべての応募企業に対して活用している」の11%と「一部の応募企業に対して活用している」の36%を合わせると48%となり、活用派と活用しない派はほぼ半々で拮抗(きっこう)しています。テクノロジーの活用は、やはり理系のほうが進んでいるようです。

全体で見ると、現状では「活用しない」が55%でやや多いものの、ビジネス上でも生成AIの活用が一般的になってきている現状を踏まえると、今後も活用する学生はさらに増えることが予測されます。
[図表10]就職活動での生成AIの活用状況
就職活動に生成AIを活用している学生を対象に、その活用シーン(活用用途)(複数回答)を見ると、文系では「採用選考のエントリーシートの作成・添削」が最多で53%、次いで「インターンシップのエントリーシートの作成・添削」が42%となり、エントリーシートの作成・添削に活用する学生が圧倒的に多いことが分かります[図表11]。「自己分析」(42%)、「企業研究」(39%)も「インターンシップのエントリーシートの作成・添削」と同程度の高い割合となっています。

理系ではエントリーシートの作成・添削のための活用がさらに進んでおり、インターンシップで68%、採用選考で67%といずれも7割近い活用度となっています。ただ、「企業研究」(31%)、「自己分析」(28%)などその他の用途については、エントリーシートの作成・添削ほど活用されておらず、逆に文系のほうが理系よりも活用が進んでいる状況です。
[図表11]就職活動での生成AI活用シーン(複数回答)

面接先を絞り込む理系

次は、エントリーシートの提出社数を文系と理系で比べてみましょう。文系・理系ともに最も多いのは、セミナー等の参加社数と同じく「10~14社」で、文系が22%、理系が19%とともに2割程度です[図表12]。文系ではこれに「20~24社」「30社以上」がそれぞれ18%で続き、“10社以上”が合わせて70%と、セミナー等の参加社数の割合(65%)を上回ります。「7~9社」(12%)と「4~6社」(11%)はともに1割程度です。

一方、理系を見ると、「10~14社」の次は「1~3社」「4~6社」がともに17%、「7~9社」が12%で続きます。「15~19社」は11%となっているものの、20社以上の区分はすべて1桁台にとどまり、“10社以上”は合わせて53%と文系を20ポイント近く下回っています。セミナー等への参加と同様に、文系のほうがより多くの企業にエントリーシートを提出している様子がうかがえます。
[図表12]ES提出社数
面接を受けた社数について見ると、文系はこちらも「10~14社」が23%で最も多い一方、理系は「4~6社」が29%で最も多く、次いで「1~3社」の25%など、“6社以下”が56%と半数以上となっています[図表13]。文系の6社以下の割合は33%と理系よりも23ポイントも低く、理系のほうが面接先企業をより絞り込んでいることがうかがえます。
[図表13]面接を受けた社数
[図表14]は、[図表7(セミナー等の参加社数)、12(ES提出社数)、13(面接を受けた社数)]を一つにまとめたものです。グラフの形を見ると、文系の「セミナー等」と「ES」はほぼ同様の傾向を示し、「面接」では“20社以上”の合計割合が大きく減少する代わりに、“1~9社”の合計割合が大きく増えていることが分かります。

一方、理系では、「ES」提出の時点で「1~3社」が増え、「面接」では「1~3社」がさらに増えるとともに、「4~6社」も大きく増えている様子が分かります。企業の採用ニーズが文系よりも高い理系において、エントリーシートの通過率が文系より極端に低いことは想定できず、学生側が面接社数を絞り込んでいると見てよいでしょう。また、3月時点の本調査で理系のほうが文系よりも早期の内定率が高いことが明らかになっており、面接に進む前に既に他社から内定を獲得した学生が面接を辞退したことにより、表に出てくる面接社数が抑制されているのではないかとも推測できます。
[図表14]セミナー等・ES・面接の社数比較

対面型にシフトする最終面接

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