今年4月、新卒社員が退職代行サービスを利用している件が話題となりましたが、同サービス『退職代行モームリ』を運営する株式会社アルバトロスは8月7日、その利用者を対象としたアンケート調査の結果を発表しました。同調査は、新卒社員に限定せず幅広い年代の利用者を対象としたものですが、ここでは新卒社員に限定した利用状況(2024年4月1日~7月31日)に関する集計結果を紹介します。
・4~5月は入社前のイメージと勤務実態や職場環境のギャップ等が多く挙げられている。企業側の入社前の説明不足や労働者側の会社情報の調査不足等が原因ではないかと思われる
・本社と現場での労働環境に対する考え方の相違が発生している企業も多い印象
・6~7月は各種ハラスメントや人間関係にまつわるものが多くなっている。業務に慣れてくるこの時期は、業務面ではなく人間関係などのメンタル面のフォローを中心に行う必要があるといえる
せっかく苦労して採用した新卒社員が早期離職しないように、入社後の業務面やメンタル面のフォローだけでなく、来年4月に新卒社員を迎え入れる前から、応募者や内定者に対して企業が配慮、支援しておくべきことはいろいろとありそうですね。
「就活前半」から口コミサイトが躍進
さて、今回は、HR総研が就活口コミサイト「就活会議」と共同で、2025年卒業予定の同サイト会員学生を対象に共同で実施した「2025年新卒学生の就職活動動向調査(6月)」(調査期間:2024年6月3~17日、有効回答:338件。以下、25年卒調査)の結果を紹介します。ぜひ参考にしてください。まずは、就職サイトの活用状況について見ていきます。2023年6月~2024年2月の「就活前半」と、就活ルール上で採用広報解禁となった2024年3月以降の「就活後半」で、それぞれ活用した就職サイトを複数選択で回答してもらい、さらにその中から1年間を通じて最も活用した就職サイトを一つだけを回答してもらいました。前年同時期に実施した調査(以下、24年卒調査)は「楽天みん就」(現「みん就」)会員学生を対象とした共同調査であったため、両サイトそれぞれで想定されるバイアスの差を考慮し、前年の調査結果との一覧での比較は控えました。ご了承ください。
就活前半(2024年2月以前)の就職サイトの活用状況では、上位4サイトの顔ぶれは文系・理系で全く変わらず、1位が「マイナビ」、2位が「就活会議」、3位が「ONE CAREER」、4位が「リクナビ」となっており、文系の「マイナビ」(86%)を筆頭に、すべて5~8割台の活用度となっています[図表1]。今回の25年卒調査は、「就活会議」会員学生を対象に実施していますので、「就活会議」の順位をフラットに見ることはできないとはいえ、同じく就活口コミサイトである「ONE CAREER」も、代表的な就職ナビである「リクナビ」を上回っていることに驚きます。これまで就活口コミサイトの活用は、面接選考等が本格化する就活後半(3月以降)に高まる傾向があり、就活前半はインターンシップ情報の収集とエントリーを目的に就職サイトを活用することが多く、就職ナビの活用度のほうが就活口コミサイトを上回ることが常でした。現に24年卒調査では、文系・理系ともに「リクナビ」が「ONE CAREER」と「就活会議」を上回り、2位となっていました。今回の結果は、25年卒学生の就職活動において、就活前半から既に面接選考を受ける学生が多かったことをうかがわせるものと言えるでしょう。これらの就活口コミサイトは、実際に過去の選考に通過したエントリーシートの回答例を公開していることも、学生を吸引している大きな理由の一つだと思われます。
5位以下を見ると、就活口コミサイトの「OpenWork」のほか、「OfferBox」や「dodaキャンパス」(文系)、「キミスカ」(同)などの逆求人サイトもランクインしています。理系では、理系学生特化型の逆求人サイトである「LabBase」や「TECH OFFER」もランクインするなど、従来の就職ナビだけでなく、さまざまなタイプの就職サイトが活用されていることが分かります。