半数以上の学生が内定承諾企業内に相談相手あり

「就活の継続意向」で「就職活動を終了する」と回答した学生を対象にした、「内定承諾先企業への入社に向けての不安」については、「不安がある(あった)」とする割合は文系55%、理系49%と、いずれも半数前後に達していますが、こちらも理系のほうが低い結果となりました[図表11]。前述の「内定承諾の決断に対する不安」とほぼ同様の結果となっています。
内定承諾した(する)企業への入社に向けた不安
また、内定承諾への不安が「ある(あった)」とする学生群では、入社に向けた不安の割合も高くなっており、79%と8割にも上っています[図表12]。内定承諾への不安が「ない(なかった)」とする学生群では、入社に向けた不安の割合は28%にとどまり、50ポイント以上の差がついています。内定承諾時の不安があった学生は、その不安を解消できないまま、入社に向けた不安となって残っていることが推測されます。
内定承諾への不安の有無別・入社予定企業への入社に向けた不安
では、具体的にどんなことに不安を感じているのでしょうか。[図表13]は、「入社に向けた不安の内容」について、文理別の結果を文系の数値で降順に並べたものになります。
入社に向けた不安の内容(複数回答)
文系・理系ともに最多は「職場メンバーに馴染めるか」で、文系51%、理系55%といずれも半数を超えています。それに次ぐ「仕事で成果を出せるか」も、文系47%、理系52%と半数前後となっているほか、「配属先」も文系45%、理系38%と多くなっています。「生活環境の変化への対応」と「給与・福利厚生」も3割前後の学生が不安内容として挙げています。企業はこれらの不安要素について、採用選考の段階から丁寧に説明することで、学生が理解し納得した上で安心して内定承諾し、入社を迎えられるようにすることが大切になってきます。

次に、入社に向けた不安を相談できる人が、内定承諾企業の中にいるのかについても聞いてみたところ、「いる」とする割合は文系58%、理系55%となり、いずれも6割近くとなっています[図表14]。逆に見ると、4割強の学生が、入社に向けた不安を内定承諾企業に直接相談できる相手がいない状況となっていることになります。ここは要注意です。
内定承諾先企業での相談相手の存在
最後に、「内定承諾先企業の理解度」を入社に向けた不安の有無別にクロス集計した結果を紹介します[図表15]。「理解できている」と回答した割合は、「入社に向けた不安はない」学生群では33%と3分の1に及ぶのに対して、「入社に向けた不安がある」学生群では15%とその半分以下となっています。
入社に向けた不安の有無別 内定承諾先企業の理解度
その分、「どちらともいえない」とする割合が、「入社に向けた不安はない」学生群の9%に対して、「入社に向けた不安がある」学生群では20%と2倍以上となっており、自信をもって「理解できている」と言い切れない学生の姿がうかがえます。企業理解ができていないことが、入社への不安を醸成する理由の一つになっていると考えられます。

入社に向けた不安が解消されないままの状態が続くと、内定辞退につながるリスクを抱えているだけでなく、低いモチベーションや理解度のまま入社を迎えることは早期離脱にもつながりかねません。人事担当者、またはリクルーター等による、内定者一人ひとりの不安解消に向けた、きめ細かい個別のフォローが求められています。

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